電子情報工学科
田中 武
教員紹介
プロフィール
- 【専門分野】
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○デバイス応用
○半導体プロセス工学
○照明工学
○水素エネルギー
- 【担当科目】
- 固体電子工学I/II 、 デバイス応用 、 電子情報工学実験C/D 、 集積回路工学
- 【研究テーマ】
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1.プラズマベースイオン注入法による注入・蒸着・滅菌技術の開発
2.材料・デバイス・デバイス応用等の連携教育研究
3.IoTの作製、及びそのデータ駆動技術の開発
4.水素エネルギー利用システムの開発
- 【ひとこと】
できることからやっていこう!
研究紹介
田中 武TANAKA Takeshi
工学部 電子情報工学科 教授
鉄道模型に医療機器、水素エネルギーにスマートグリッドまで?
電⼦デバイスを多彩に追究
PROLOGUE
大規模集積回路(LSI)やLEDに活用される電⼦デバイスは、今や産業のあらゆる⽅⾯で力を発揮しています。家電製品や携帯電話、パソコンなどの制御にLSIは⽋かせませんし、⻑寿命で省電⼒のLEDは交通標識や屋外表⽰といった照明として使われています。そうした電⼦デバイスを⾃分たちで作ってみよう、そして作った電⼦デバイスを実際に使ってみて改良を加え、もっと便利なものにしようとチャレンジしているのが⽥中先⽣。鉄道模型に医療機器、果ては水素エネルギーにスマートグリッドまでと、先⽣のチャレンジは多岐に渡ります。
Nゲージを多彩なエネルギーで、⾛らせてみよう
Nゲージと呼ばれる、この鉄道模型。動かすだけでワクワクします。もちろん、遊びで買ったわけではないですよ。研究に使うのです。Nゲージの⾞体にはモータが⼊っています。このモータを電力会社の電気、太陽電池の電気、水素をエネルギーにする燃料電池の電気で、回転させています。そしてNゲージへ電気を安定に供給するには、さまざまな制御技術が必要です。これらの制御を行う電気回路を、学⽣たちに研究として作ってもらうのです。⾃分で作り、実際に動かし、不具合を修正する…といった、電子回路や電⼦デバイス開発に必要な流れが⾝につくのですから、勉強になります。
私のゼミは、全てこんな感じです。過去には、ヘリコプターの姿勢を安定させるジャイロシステムに取り組んだ学⽣もいました。これも制御を担う電⼦デバイスを⾃分で作り、改良したのです。対象はいろいろですが、電⼦デバイスを使って制御している点では同じ。私たちは電⼦デバイスをどう作り、どんなふうに使ったら応⽤できるか、という研究に取り組んでいるのです。
多彩な⽅⾯で活躍。その全てが学⽣の研究対象に還元される
私の研究は「プラズマベースイオン注⼊法」「Sigfox通信、およびオゾンセンサー機能を持つIoTの開発」に関するものです。これは電⼦デバイスをどうやって作るか、デバイスの機能はどんなものか、という『プロセス技術』や『デバイス応用技術』の応用で、LSIやLEDなどあらゆる電⼦デバイスに関係します。
研究を続けるうち、作るばかりでなく、多彩な電⼦デバイスをどう使うかという『デバイス技術』分野への興味が湧いてきたのです。「どう作るか」「どう使うか」の両⾯を知っていることは学生にとっても有利です。電⼦デバイスの全体がわかることで、将来の選択肢が増えるため、両⾯取り組んでいこうと考えました。
いろんな⽅⾯に⾸を突っ込むうちに、東ヨーロッパのブルガリアの科学アカデミーで共同研究を重ね、アカデミーから功労賞を頂いたり、島根県からは“しまね産業立地アドバイザー”として委嘱を受けたり、福岡で開催しているLSIカレッジの講師に招かれたり、活躍の幅も広がってきました。もちろん、個別企業からの依頼で、新たなデバイスの開発に携わることも度々あります。
こうした⼈脈の中で⽣まれたテーマは、全て学⽣たちの研究対象となります。“LSIを作ってみよう”と⾔えるのも、さまざまな企業や団体との共同研究を積極的に進めてきて、研究室の設備なども充実してきたからです。こうした勉強ができる環境は、あまりないのではないでしょうか。
未来づくりに貢献できる、優秀なエンジニアを育成したい
これまで取り組んできた、あるいは取り組み中のテーマをあげると、例えば「体育館⽤照明に使う⽩⾊LED開発」があります。これは従来、⽤いられていた体育館の⽔銀灯の代替品となる照明です。また、知り合いが作ったベンチャー企業との共同研究で、医師が使う医療⽤のLEDライト開発にも関わりました。このライトを利⽤すると、現在、医師が⼿術の際に使⽤する⼿術室の⼤きな照明が不要になります。停電など突発的な事故の際にも、安⼼して⼿術が継続できるようになるわけです。
最近のテーマで⾔うと、電⼒を中⼼とした低炭素な街づくりをしていこうという『スマートシティ』の中⼼技術となるデバイスの開発や応用でしょうか。こうなるとデバイス技術・プロセス技術だけでなく、社会の仕組みも学ぶことになりますからね。学⽣たちには挑戦しがいのあるテーマだと思います。
他にもたくさんの研究対象があります。⼀つひとつ解決することで、便利で快適な社会づくりに役⽴てたい。また学⽣たちと⼀緒にそうしたテーマに取り組むことで、優秀な未来のエンジニアを育成することにも貢献していきます。