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機械情報工学科

里信 純

教員紹介

里信 純SATONOBU Jun

工学部 機械情報工学科 教授

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○音響システム
○超音波工学
○メカトロニクス
【担当科目】
情報基礎演習 、 機械設計製図 、 数値計算 、 情報理論 、 メカトロニクス設計
【研究テーマ】
1.強力超音波の発生源、伝送体の研究
2.音響エネルギーを利用したメカトロシステムの設計・制御
【ひとこと】

若いうちは失敗を恐れず何事も経験から学んでいくことが大切です。

研究紹介

里信 純SATONOBU Jun

工学部 機械情報工学科 教授

「聞こえない音」が車を変える。
生活をもっともっと便利にする
PROLOGUE

音楽はいいですよね。素敵な音楽を聴いてリラックスしたり、アップテンポの音楽で気分を盛り上げたり、時には感動的な音楽に涙を流したり。いい音楽は、人々の人生を豊かにしてくれます。でも人間が耳で感じ取る音は、ほんの一部。私たちの周りには多くの「聞こえない音」があります。この「聞こえない音」を活用し、もっと便利な機械をつくろうと考えているのが里信先生。先生は、「聞こえない音を利用した自動運転の車」なんて機械の開発も行っています。

超音波は、医療にも漁業にも利用されている

私の研究課題は、音響工学と機械工学を融合させることです。例えば、音のエネルギーでモノを動かす、とか。実は、私たちはいつもそれらを経験しているんですよ。大きな太鼓を叩くと、そばにある小物が震えたりするでしょう?これは音のエネルギーが振動となって伝わるから。また、音をマイクで拾うと大きくなりますね。あれは音のエネルギーを電気信号に変えることで実現しているのです。
私は音の中でも、超音波に注目しています。イルカや犬などは超音波をしっかり聞き分けられるのですが、人間の耳では残念ながら感知できません。でも人間は、この超音波をさまざまな場面で活用しているんです。例えば、医者が患者の内臓を調べる時に行うエコー検査や、漁師が魚を探す時に用いる魚群探知機などがそうです。
最近、実用化が急速に進んでいるのが「超音波モータ」。超音波の振動エネルギーを利用し、モータを回すのです。極めて正確な位置で止められ、また変速機がなくてもゆっくり動ける、という通常のモータにない特性を持っています。瞬時にピントを合わせないといけないカメラのオートフォーカスのような動作だと、力を発揮します。音エネルギー、なかでも超音波の利用は、今後いっそう盛んになるでしょう。

障害物を超音波で感知し、自動でよける車

研究室では、超音波を使った車の自動運転の実験を行っています。車の先端に超音波センサを取り付け、センサから超音波を出し、前方の障害物の有無を自動で感知します。障害物があると超音波が跳ね返ってくるので、障害物までの距離を測り、自動でよけるわけです。
この実験には興味を持つ学生も多いですよ。ただ、超音波を利用した機械をつくるには、それを制御する複雑なプログラムが必要になります。学生には、単に機械をくみ上げるだけでなく、ソフト面も大いに勉強してもらいたいですね。
また「何でも勝手にやってくれる」機械が必ずしも良いとは限りません。超音波センサ搭載車も、全自動にすることはできます。でもそれだと「運転する楽しみ」を人から奪ってしまうことになる。そうではなく、運転をもっと快適にするためのサポート役として機能する方がいいんです。「人の気持ちを感じて上手にサポートしてくれる」機械が、これからはどんどん求められるのではないでしょうか。

超音波を使った車の自動運転実験
車の先端に取り付けた超音波センサ
によって障害物の有無を感知

同じ音が「楽しげ」や「寂しげ」に聞こえるのはなぜ?

私のゼミでは「超音波エネルギーの利用」とともに、「音の情報処理」も大きなテーマです。
音はエネルギーであるとともに、情報でもあります。同じピアノの音でも「楽しそう」に聞こえることもあれば、「寂しげ」な場合もありますよね。時には「危ない」と感じるかもしれません。音色や強弱を変えることで何かを伝えられる、という意味で、音は間違いなく情報なのです。人間は音をどうとらえているのか、どういう種類の音が人を心地よくさせるのか。これらを明らかにするため、ある音を聞いたときの人の脳波測定を行うなどして研究を広げています。
ゼミの学生には、アイデアを出す→設計する→図面を作成する→組立・加工する→動作を試す、というものづくりの一連の手順を、全て主体的に経験させます。上手くいかない場合は、最初に戻ればいい。この繰り返しが経験となり、知識となり、自信になっていくんですよ。卒業生は自動車関係に就職する者が多く、研究開発、生産技術の分野で活躍しています。
私は昔から音楽…と言うか楽器が好きで、高校時代にシンセサイザーなど電子楽器をしょっちゅういじっていました。そこから音とテクノロジーが融合していることに興味を持ち、音響工学・音のエネルギーを使う研究へと進んでいったのです。学生にも、自分の興味や好奇心を活かし、研究を進めてほしいと思います。