情報マネジメント学科
山岸 秀一
教員紹介
プロフィール
- 【専門分野】
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○分子シミュレーション
○情報の可視化
○画像符号化
- 【担当科目】
- アルゴリズム入門 、 Linux入門 、 Webデザイン 、 論理回路 、 情報システム実践II
- 【研究テーマ】
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1.第一原理計算による固体表面現象の解析
2.数値シミュレーションによる現象の解析・予測
3.物理・化学現象の可視化
4.映像情報符号化
- 【ひとこと】
失敗を恐れずに何事にも積極的に挑戦していきましょう。
また、困難に直面したら一人で悩まないで誰かに相談しましょう。
そして、常にポジティブな気持ちで学生生活をエンジョイして下さい。
研究紹介
山岸 秀一YAMAGISHI Shuichi
情報学部 情報マネジメント学科 教授
「動け!」と念じるだけで
ドローンを操作するシステムは開発できるか?
PROLOGUE
VR、AR、MRといった言葉を耳にする機会が増えてきました。コンピュータで仮想空間を作り出し、そこにいるかのような感覚を味わわせるVR、現実空間にデジタル情報を付加するAR、現実空間と仮想空間を融合させるMRは、ゲームや観光を始め、さまざまな産業で活用されていくでしょう。これらに代表される、IT機器を活用した新たなシステムの開発に取り組むのが山岸先生。「AR・VRは既に実用段階で、研究素材としての旬は過ぎました。その次に何が来るか…と狙っています」と先生は意欲的です。
コンピュータによるシミュレーションによって、金属の劣化を解析
私は、大きく3つの分野で研究を進めています。
その1つがシミュレーション。特に鉄やニッケルなどの金属について、物理法則に基づくコンピュータ上の仮想実験を行い、性質を調べる「分子シミュレーション」に取り組んでいます。
今、関わっているのは、火力発電所で使用されるボイラチューブの劣化診断です。ボイラチューブは破断すると発電できなくなるため、オーステナイト系ステンレス鋼という丈夫な金属でできています。その劣化が進むと金属組成がどう変化するか、シミュレーションでチェックするのです。これなら部品を壊さず診断できるため、発電を停止せずにすみます。この仕組みを成功させた例は世界でもまだなく、電力会社と協力して取り組んでいます。
2つ目が、画像処理です。書や図画などの古くから残る文化財に、経年によるひび割れが発生しています。そこで、文化財を写真に撮影し、ひび割れ箇所をディープラーニングによって修復するのです。また、不鮮明な画像や照明の十分でない場所で撮影された画像の色を復元する、といった画像処理も行っています。これはホワイトバランス調整を、システムに自動で行わせることで実現します。
VRとARの融合で、瞬時にどこでも行けるようにする
3つ目の研究が、新たなIT機器を用いたシステム開発です。
最初のきっかけは、災害支援でした。東日本大震災のような大災害で道路寸断や通信途絶が起こると、被災状況が分からなくなります。そこで360度撮影のカメラを現地に設置し、被災地各所を撮影。得られた画像データから360度のVR空間を作り、災害の専門家にその空間に入ってもらいます。専門家に状況を視察してもらった上で、取るべき救助体制や二次災害の可能性についてアドバイスをもらうのです。VR空間なら、専門家がどこからでもアクセスできます。
しかしこういったVRは、もう実用段階にあります。そこで、ARとVRを融合し、「どこでもドア」は実現できないか、と考えました。
例えば仙台の青葉城の城郭は既に失われ、城址しか残っていません。そこで特殊レンズで城址を見たとき、ARを利用して城郭の映像を浮かび上がらせます。さらにVRで城内空間を生成し、城内に入れるようにするのです。ARとVRを融合させた、バーチャル観光ができる仕組み。すなわち「どこでもドア」が実現する、というわけです。
ですがこの仕組みも、もはや実用ベースで語られるようになりました。
身体表現によってドローンを操作。「鳥体験」を味わう
今、考えているのは「身体表現によるドローン操作」です。モーションキャプチャによって身体の動きを検出し、ドローンを操作するのです。手を上げたら上昇、下げたら下降など、動作で操れるようになれば、ドローンはさらに便利になるでしょう。
操縦者が特殊レンズをかけ、ドローンのカメラから送られた映像を映し出して、バーチャル飛行を体験、といったこともできます。あたかも鳥になった気分が味わえるかもしれません。
脳の信号でドローンを操作する研究もしています。操縦者は「動け」と念じれば良いだけ。手を動かす必要もありません。精度の良い脳波計があれば、原理的にはできます。これを発展させると、5Gの高速回線を使用し、遠隔地にある機械を思い通りに操作できるのではないでしょうか。日本にいながら、海外の建設機械を操作して、発展途上国のインフラ整備を行う、といったことが可能になるかもしれません。
技術進化の早い分野ですが、ゼミの学生はどん欲で、私の気が付かないアイデアをどんどん出してくれます。彼らとともに、新たなシステムを生み出したいですね。