どんな技術が学べる?どんな夢が見えてくる? ~第1回オープンキャンパス開催(1)
2017.08.10
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科学や技術を楽しく体験しながら、広島工業大学の学びを堪能しよう!
快晴に恵まれた7月16日の日曜日、今年度第一回のオープンキャンパスを開催しました。広島工業大学の各学科やイベント担当者が、それぞれに工夫を凝らしたプログラムを用意。数多くの高校生や保護者の方々に、本学にどんな研究や学びがあるのか、それらが社会の未来とどうつながっているのか、楽しく体験しながら実感していただきました。
ここではプログラムやイベントの様子を、ほんの一部ですがご紹介。
第1弾の今回は、工学部の6学科を中心にお伝えします。
いよいよオープンキャンパスのスタート。
多くの高校生や保護者の方々が来校しました。
女子学生キャリアデザイン(JCD)センターも、女子高生を迎える準備は万端。
最寄りのJR五日市駅と大学を結ぶ無料のスクールバスで、高校生が到着。
自動運転のラジコンカー? 10億分の1mサイズのものづくり?
~電子情報工学科
「前進!」「ここで右に90度曲がれ!」。...こんな感じのプログラムを、あらかじめパソコンで作成します。するとラジコンカーは、コントローラーに触れていないのに、勢い良く走り出しました。思わぬ所で進路変更したり、曲がり過ぎて壁にぶつかったり...ってトラブルもあったけど、前進を続けるラジコンカー。こうした自動制御の仕組みについても学んでいます。
写真右にある黒いリモコンには一切触れることなく、赤いラジコンカーが走行を続けています。
電子情報工学科には、企業も顔負けのクリーンルームがあります。クリーンルームとは、チリ一つの侵入も許さない、防塵対策や温度・湿度の厳密な管理が施された清浄空間。ここで行われているのが、研究に使う半導体集積回路などの試作です。下の装置は「多重磁極型マグネトロンスパッタ成膜装置」というもので、より効率の良い半導体製造のため、同学科の先生たちが独自にカスタマイズして生み出しました。この装置で、200ナノメートル位の成膜が可能(1ナノメートル=10億分の1メートル)です。
学科の先生がカスタマイズした多重磁極型マグネトロンスパッタ成膜装置。今は、さらに進化した装置も活用しています。髪の毛1本も厳禁のクリーンルームに入室する時は、みんなユニフォームを着用します。
電子情報工学科では、コンピュータ、情報通信、電子デバイスなどIT社会の基盤となる技術が学べます。上記の他、「自立二輪走行ロボット『Mip』を使った画像認識・制御」や「レーザーを用いた音声通信」など、様々なプログラムがありました。
太陽光発電を多機能化? 人体にプロジェクションマッピング?
~電気システム工学科
太陽光発電はエコなシステムですが、発電効率が良くないという課題を抱えています。これはプロセスの様々な局面で、電力損失が生じているということです。そこで電力貯蔵装置といった機器を付加したり、コンバータやインバータなどの細かな制御によって、電力の損失をできるだけ小さくする研究を進めています。多機能化により太陽光発電の効率が向上すれば、再生可能エネルギーの普及が加速するかも知れません。
太陽光発電のモデルを構築。どんな仕組みが効率アップにつながるか、トライ&エラーを繰り返しています。
下の写真は、電子情報工学科と電気システム工学科の女子学生で結成された「グローバルものづくり」グループによる、プロジェクションマッピングを応用した企画です。ソリッドスクリーンという透明のシートにCGなどで作成した映像を投影します。そして、スクリーンの後ろに人間が入れば、あたかも人間の体に映像を映したかのような状態になるわけです。プログラムから設備まで、全てグループの女子学生が主体となってプランを練り、組み立てました。
女子学生2人の前にある花柄マークは、透明スクリーンに投影された映像。ここにハートを映し出し「スキです!」なんてメッセージを流すこともできます。
電気システム工学科ではエネルギーやコンピュータ、通信など各種のシステムを学びながら、電気工学を基盤とする高度情報時代に不可欠の技術を習得します。上記のほか「電気自動車を使った電気のスマートな活用法」や「コンピュータを使って音声から雑音を取り除いて、楽譜にする」など、いろんなプログラムで盛り上がっていました。
10円玉の中に鳳凰が見える? 単3電池40本で走る車?
~機械システム工学科
モニターに映っている映像、何だかわかりますか? 実はこれ、10円玉。10円玉の表面にある平等院鳳凰堂の、屋根に止まる鳳凰です。レーザー顕微鏡で1万7000倍に拡大すると、肉眼ではほぼ見えない鳳凰の姿がこんな風に浮かび上がってくるのです。しかも単に平面だけではなく、三次元的に、対象物の高さを測ることもできます。このレーザー顕微鏡は、金属表面の組成を調べたり、腐食を防ぐ研究などに活用されています。機械システム工学科には、こういった最新の研究設備があります。
写真左の白い物体がレーザー顕微鏡の本体。トレイにのった10円玉を拡大すると、鳳凰の姿がモニター内に現れます。
学生自主企画「HITチャレンジ」で製作された電気自動車。40本の充電式単3乾電池を動力とする自動車で、車体設計や機器の据付、組立などは、全て学生たちの手で行います。限られたエネルギーで走行距離を伸ばすには、無駄な重量を積まないことが第一。極限までの軽量化を図りながらも、ドライバーの操作しやすさにも配慮し、最適なバランスを実現するのが難しいのです。電気自動車を使った次世代エネルギーカーイベント『Ene-1 GP』が、今年は鈴鹿サーキットで開催されます。学生たちのチャレンジで、栄光はつかめるでしょうか。
小柄な体型のドライバー1人が、寝転んでようやく入れるコクピット。限られたスペースながら、操作しやすさに配慮した工夫がなされています。
機械システム工学科では、自動車・医療機器・ロボット・航空宇宙など各産業に直結するものづくりについて、設計・生産・加工などのいろんな局面で学べます。上記のほか「3Dプリンターを使ったものづくり体験」や「生産現場で活躍する最新の工作機械」など、注目を集めるプログラムがたくさんありました。
ハンドルを触らないのに車が曲がる? 指を自在に動かすロボットハンド?
~知能機械工学科
あれ?手はバンザイしたまま。なのに車は悠然と走り、カーブもきちんと曲がっています。実はこの車、車体前方に超音波センサーとカメラが搭載されているんです。超音波が前方の障害物を確認し、カメラがルートを捉え、それらの情報によってプログラムが車を自動制御している、というわけです。だから手放しでも安心なのです。超音波や画像を利用したこの自動運転システムは、先生と学生たちの手で構築されました。
前方に障害物があると、超音波センサが感知して車をストップさせるので、壁にぶつかる心配もありません。
写真の下側で銀色に輝く、金属の手。これは学生たちが卒業研究で完成させたロボットハンドです。親指、人差し指、そして残り3本の指がプログラムによって自動で動作し、ペットボトル1本くらいなら楽に持ち続けられます。人間の手のように各指の関節を自在に動かし、しかも一定の保持力があるロボットハンドの製造は簡単ではありません。その高い壁に挑戦し、制御用プログラムの作成から、部材として用いる金属の加工・組立まで、全て学生が行いました。
写真上にある白い"手"は、紙製の試作品。このモデルで指がどういう仕組みで動いているか、など手のパーツを確認し、ロボットハンド製作に役立てました。
知能機械工学科では自動車やロボティクス、また最先端の生産システムを題材に、次世代のメカを知的に設計・生産・制御する技術が学べます。上記のほか、「フライトシミュレータ体験」や「学生自主企画の学生フォーミュラーカー活動」など、魅力的なプログラムが用意されていました。
瀬戸内海の高速潮流で発電? Civil Engineeringってなに?
~環境土木工学科
海底の地形が急峻で、多くの島が連なる瀬戸内海は、潮流のスピードが速いことでも知られています。そこで、潮流のエネルギーを発電に利用してみよう、という研究が始まりました。瀬戸内の島々を結ぶ大きな橋の橋脚部分に発電装置を取り付け、潮流によってタービンを回し、発電するという仕組みです。実験してみると、システム1基で、約30世帯分を賄える電力を生み出せることがわかりました。ほぼ無尽蔵の再生可能なエネルギーである潮流の安定的な活用法が、広島工業大学から生まれるかもしれません。
潮流エネルギーを利用してタービンを回す仕組みを、橋脚に取り付けた状態を示すモデル。ケース内右側の、白い長方形が発電システム。左側は橋脚です。橋脚の内側は渦が発生してタービンが安定稼働しないため、外側につけるのがポイント。
Civil Engineering・・・すなわち、道路・橋・トンネルなどの人々の生活に不可欠な土木領域。それらに興味を持ち、同学科卒業後は建設コンサルタント会社などで活躍するOGが、女子高生に向け土木の魅力を解説しました。「地球に優しい社会を構築するには、土木領域はもちろん、環境分野の知識も持った専門家が欠かせません」と、やりがいと魅力を語るOGの話に、女子高生たちも聞き入っていました。
実際に社会で活躍するOGの具体的でわかりやすい話に、耳を傾ける女子高生たち。
環境土木工学科では、防災・エネルギー・環境共生などの多彩な観点から、社会の基盤を整備・維持するために必要な技術が学べます。上記のほか「液状化現象の発生メカニズムを探る」「3Dによるバーチャルまちづくり体験」など、盛りだくさんのプログラムで多くの人の興味を誘っていました。
竪穴式住居がモチーフの都市公園? 巨大コンクリートをぶっ壊す装置?
~建築工学科
下記の模型は、ビルが密集する広島の中心部に生まれた新しい都市公園の提案。学生が卒業研究で製作したものです。発想のもとは"竪穴式住居"。土を掘り、掘った土を盛り上げ、その上に木のやぐらを建てるという建築の原初的なやり方を導入。凸凹の多い空間を造り出し、そこに木造で、図書館やコンサートホール、飲食スペースといった様々な機能を持つ建物を形成しています。木造をうまく使って、都市の中に安らぎの感じられる空間を演出しました。
天井が吹き抜けになっていて、夜に空を見上げると満天の星が楽しめるスペースもあります。
下の巨大な機械は「二軸載荷装置」。コンクリート製の試験体を装着し、縦(鉛直方向)と横(水平方向)から同時に100~200kN(キロニュートン)という大きな力を与え、試験体がどこまでの重さや変形に耐えられるかを測定するものです。通常、ここまでの大型装置を備える大学はほとんどありません。建築工学科では、こうした装置を活用し、丈夫な建築物を造るのに欠かせない技術を研究・開発しています。
試験体となる巨大コンクリートは、学生たちが先生の指導を受けて造ったものです。
建築工学科では、住宅・マンション・公共施設・大型施設などあらゆる建物の建築について、企画・設計から完成までを学びます。上記のほか「地震の揺れと建物の高さの関係」「米子空港周辺の遊休地を活かした観光市場建築」など、様々なプログラムが準備されていました。
オープンキャンパス紹介の第1弾はここまで。工学部6学科を中心にプログラムやイベントについてお伝えしましたが、いかがでしたか?
次回第2弾では、情報学部・環境学部・生命学部の6学科を中心にご紹介します。お楽しみに!