未来につながる、画期的な技術とユニークな学びがある! ~第1回オープンキャンパス開催(2)
2017.08.10
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社会を支える最先端の研究・技術を、存分に体験する。
7月16日の日曜日に開催された、今年度第一回のオープンキャンパス。多くの高校生や保護者の方々に来場いただき、広島工業大学の各学科やイベント担当者が用意した数々のプログラムを楽しんでいただきました。そうした体験を通じ、自分の将来や社会の未来について夢を広げる高校生もたくさんいたようです。
行われたプログラムやイベントの様子を、ほんの一部ですがご紹介。
第2弾は情報学部・環境学部・生命学部の6学科を中心にお伝えします。
毎年人気の「高校対抗水ロケット大会」。500mlのペットボトル2本を使って水ロケットを自作し、飛距離を競います。水ロケットをまっすぐ高く飛ばすには、きちんとした原理に則らないといけません。水ロケットは科学の本質を学ぶことができる、格好の題材なのです。
「高校対抗水ロケット大会」には、多くの高校が参加。水量や羽根の位置、発射角度など、先輩の大学生にアドバイスを受けながら工夫を凝らした高校生たち。青空の下、高く舞い上がる水しぶきに歓声を挙げていました。ちなみにこの日の最高記録は75mでした。
「どんなことを学ぶ学科ですか?」「実習とか演習は何をやるんですか?」「就職先は?」「大学生活は?」といった女子高生の質問に、自分の経験も交え答える女子学生たち。女子学生キャリアデザインセンター(JCDセンター)にはひっきりなしに女子高生が訪れていました。現役の女子学生が対応してくれるので、会話も弾みます。
女子高生にものづくりを楽しんでもらおう、とJCDセンターの女子学生が企画し、ドリームキャッチャーづくりにトライ。ドリームキャッチャーとはネイティブ・アメリカンなどの間に伝わる、魔除けのお守りです。先輩女子学生のアドバイスで一緒に作っていると気持ちも打ち解け、大学についていろんなことを語り合ったりもしました。
学内レストラン「LEAF GARDEN」は、この日に限り、オープンキャンパス特製メニューを無料で楽しめます。カレーライスにパスタにハンバーグ、どれも美味しそう!
スポーツ技能向上に役立つデバイス? 行ったことのない街を歩く?~情報工学科
情報工学科は「ウェアラブルセンサでスポーツを科学する」をテーマに、模擬授業を実施しました。「ウェアラブルセンサ」とは、腕や足などの部位に装着し、筋肉の動きや脈拍と行った様々なデータを収集するデバイスのこと。これを用いてスポーツ選手の動きの情報を収集・分析し、スポーツ技能の向上に役立てようという研究が進められているのです。東京オリンピックで採用されるスケートボードなど、まだ科学的分析が進んでいない新たなスポーツ領域で、特に効果を発揮すると期待されています。
スポーツが上手な人の動きをデータとして取り込み、練習を行う際の参考にすれば、一般の人の技能もどんどん向上する...かも?
足踏みすると、スクリーン上に広がる街の映像が前進。自分の歩行とともに街が動く様子を見ていると、本当にそこを散策しているかのようです。右手を上げると映像が右に回転、左手を上げると左に方向転換と、思い通りに動かせます。これが「バーチャルトラベリング」。人間の動きを感知する機器を応用してパソコンを操作し、ストリートビューと連動することで、街歩きの疑似体験を実現しています。
ストリートビューのデータさえ揃えば、南極でもアマゾンでもバーチャルトラベリングが可能に!
情報工学科では、コンピュータ、ネットワーク、マルチメディアなど高度情報化社会に不可欠の情報技術が学べます。上記のほか「コンピュータネットワークの最新技術」「組込プログラミングを体験する」など、いろんなプログラムがありました。
遠隔地にいるはずの人が、すぐそばに? アナログ玩具を無線で直感操作?~知的情報システム学科
ある地点に半円筒形の半透明スクリーンを設置します。そして、遠く離れた別の地点にいる人を撮影し、ネットワークを通じてリアルタイムで送信。そしてプロジェクションマッピングを利用し、スクリーン上に立体映像として投影する、という「遠隔存在感伝達」システム。これを利用すると、例えば実家に一人で暮らす高齢者が、遠く離れた場所に住む家族と、まるですぐそばにいるかのような自然に近い形でコミュニケーションをとれるわけです。
写真の右側にいる高校生の映像が、左側の半円筒形・半透明スクリーンに投影されています。ネットワークさえつながっていれば、もっと遠く離れても同様に映像を投影するのが可能です。
迷路の箱があります。通常は箱の横についたボタンを回し、迷路を傾けて遊びます。さて、この箱のボタンを自動で動かす装置を取り付け、その装置を無線通信で制御できるようプログラムを組み込んでみます。すると...ボタンに触らなくても、タブレットPCの傾きと同じように迷路の道が傾き始めました。ボタンを回すより直感的に操作できるようになって、ゲームがさらに楽しくなりそうです。このように、どんどん進化するインターフェース(ゲームや機器を操作・制御するための入力装置)についての研究に取り組んでいます。
タブレットPCを右に傾けると、連動して迷路が右に。操作には脳波や筋肉の動きといった生体信号を活かすことも可能で、多彩な分野での応用が期待されています。
知的情報システム学科では、情報処理から情報システム技術、さらには経営情報科学までを領域として、情報を高度に活用するための専門的な知識を学びます。上記のほか「CG画像・CGアニメーション生成を体験」「機械学習で問題を解く」など、人気のあるプログラムが盛りだくさんでした。
1年生で早くもイスを製作? 2年生で橋を設計?~建築デザイン学科
建築デザイン学科の1年生が4~5人でチームを組み、木製のイスを製作。その中で一番良いイスを投票で決めようというイベントが行われました。入学したてで知識も浅く、経験もない1年生が知恵を集め、人を幸せな気持ちにさせるイスとは何か、工夫しながら設計。部材の切り出しや加工、組立まで全て自分たちで担当しました。製作には四苦八苦でしたが、完成させたイスは、どれも立派なものでした。
こちらは「人と人のつながり」をコンセプトにしたイス。みんなでいたい時、一人になりたい時など、気分によってレイアウトを変えられるのが特徴です。
下の写真は、ダンボールによって造られた模型の橋。同学科の2年生が製作したものです。与えられた条件のもと、アイデアを凝らしながら橋を設計し、素材のダンボールをレーザーカッターで切断し、組み立てる、という一連の工程を、学生自らが行いました。同条件ながらも、できた橋のデザインは多種多彩。製作にあたった学生の発想や個性の違いがばっちり出ていました。学生たちはこうした体験を通じ、建築デザインの新たな可能性を見出していきます。
ダンボールでの橋模型を製作した学生たちは、次の段階としてNC加工機を用いたリアルなインテリア家具などの製作にチャレンジします。
建築デザイン学科では、建築、インテリア・木工、デジタルデザインを柱として、人々の住環境をプロデュースするための技術が学べます。上記のほか「Student Work Gallery <学生の建築作品展示>」「授業体験<安全な建築のデザイン>」といったプログラムで、来場者の関心を集めていました。
干潟の生物が社会に潤いを与える? 豪雨災害を起こすメカニズムとは?~地球環境学科
広島工業大学の近くには約20年前、40億円をかけて整備された人工の干潟があります。学生たちがフィールドワークによる調査を行ってみると、ここにはウミニナ、オキシジミ、マテガイ、イソシジミなど16種類の貝類の生息を確認しました。他に絶滅危惧種に指定されるカニなども発見されています。県内でも有数の水鳥の飛来地であり、街に潤いを与える存在となっている干潟の環境を守っていきたい。丁寧にまとめられた発表の内容に、学生たちのそんな思いが伝わってきます。
干潟で実際に採取してきた貝類なども展示。また最近は、ドローンを使った環境の観察も行っています。
2014年8月20日、広島市で発生した豪雨災害。甚大な被害をもたらした豪雨がなぜ起こったのか、科学的に分析しました。当時、積乱雲から発散された冷たい気流と下層の温かい気流の衝突が連続することにより、積乱雲が次々に形成される「バックビルディング」という現象が発生していました。そうした積乱雲の群れが1時間100mm以上という猛烈な雨を降らせ、土砂災害につながってしまったのです。街の防災を考える上では、このような自然のメカニズムを理解しておくことが何より重要です。
実際の被災現場や雨量データなどもフルに活用し、バックビルディングのメカニズムを詳しく解説しています。
地球環境学科では、人工衛星データ解析、気象・災害研究、生態系保全など、地球環境に関わる幅広いテーマが学べます。上記のほか「人工衛星からの情報を受信するパラボラアンテナを見に行こう!」「ガラスびんの有効なリサイクル法」など、いろんな企画が目を引いていました。
最新の人工心肺装置はどう使う? 血管を正しく圧迫止血するには?~生体医工学科
生体医工学科には人工心肺装置、人工呼吸器、透析装置など、実際の医療現場でひんぱんに使われている機器が用意されています。学生たちはこういった最新の装置に日常的に触れながら、操作のポイントを学び、臨床工学技士としての技術を身につけるのです。下の写真は人工心肺装置で、心臓や大きな血管の手術などの際、心臓に代わって患者さんの血液循環を行う役目を果たすもの。模擬体験ながら、説明する学生たちはみんな真剣です。
人工心肺装置は、使用する患者さんの病態や体調などによって、血液流量などの設定を細かく調整していきます。患者さんの生命に関わるので、厳密に管理しないといけません。
「ボタンを押してみてください。それじゃあ弱すぎるなあ。ランプが青色になるまで力をいれてください。じゃないと、血がしっかりと止まらない場合もあるから」。この装置は、血管に注射した跡を指で圧迫して止血する際、どの程度の力でどれくらいの時間、押さえればいいかを測る「止血シミュレータ」です。このシミュレータは、学生が実際に制御プログラムを作成し、組み立てたもの。工学系の大学で学ぶからこそ、これらの装置も自分たちで製作できる力が養われるのです。
ボタンを押す力が弱いと、赤いランプが点灯。止血シミュレータを使うと、圧迫止血にどれだけの力が必要か、直感的に分かります。
生体医工学科では、工学と医学の両面から、多機能な医療機器を操作・維持管理する技術に加え、チーム医療の一員として貢献するための知識も学びます。上記のほか「透析器(ダイアライザ)を組み立ててみよう!」「バーチャル人工呼吸器操作トレーニング」など、様々なプログラムに高校生が足を止めていました。
食物繊維が豊富な海藻を練り込み、その場で焼いたパンのお味は?~食品生命科学科
様々な酵母による"発酵"は、私たちの食生活に欠かせません。醤油、味噌、ヨーグルト、納豆、漬物、パン、お酒...身の回りにあるいろんな食品が、発酵によって作り出されます。そんな発酵について学ぶため、食品実験棟にある業務用オーブンを利用し、ロールパンを実演調理しました。しっかり練り上げ、発酵させた生地をオーブンに投入。できた焼きたてフワフワのパンをおいしく頂きながら、発酵のメカニズムを学びました。
こんなにおいしいパンを生み出してくれる酵母。その力がどう働くのか、についても学びます。
ここで作ったパンには、アカモクという海藻が練り込まれています。北海道を除く日本の各地で採れるありふれた食材ですが、栄養はとても豊富。フコイダンやアルギン酸といった水溶性食物繊維のほか、ミネラルもたっぷり含まれており、悪玉コレステロール抑制などの効果があります。食品生命科学科では、こうした機能性食品を有効に活用するための研究も盛んに行われています。
これがアカモク。ネバネバの海藻ですが、このネバネバにたっぷりの栄養が含まれているのです。パンに練り込んでも、おいしさは変わりません!
食品生命科学科では、生物の機能、生命の不思議、食の安全といった3つのカテゴリーから、食品・バイオの最先端を担う技術が学べます。食品・植物・健康・酵素・発酵などのテーマで進められる様々な研究を、高校生たちは興味深そうに見つめていました。
...いかがでしたか?
ご紹介したいプログラムはまだまだたくさんあるのですが、とりあえずはここまで。興味を持たれた方はぜひ、8月20日の日曜日に開催される、2回目のオープンキャンパスにお越しください。ここでご案内した以上の、ユニークで斬新なプログラムを用意してお待ちしています。
広島工業大学について理解が深まるのはもちろん、知的好奇心が刺激されること、間違いなしですよ!