鳥人間コンテスト初出場― 自作の飛行機で空を飛ぶ! 夢に挑んだ2日間(その1)
2017.09.05
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読売テレビ主催「第40回鳥人間コンテスト2017」本番前日の7月28日。広島工業大学人力飛行機同好会「HIT Sky Project」のメンバーは、夢の舞台である琵琶湖東岸の彦根市松原水泳場に集まりました。2日間にわたる、彼らの初挑戦に密着しました。
機体を組み立てながら受け継がれる思い
28日午前、広島工業大学から大型トラックで運ばれた機体が無事到着。機体チェックをパスするために、すぐに全員で機体の組み立てに取りかかりました。
割り当てられた駐機場(機体を格納する場所)は、夢にまで見たプラットホームのすぐ近く。明日の本番をイメージしながらの作業が続きます。同好会メンバーのほか、OBも全国から続々と集結。真夏の昼間、風もなく太陽が照り付け、暑さが体力を奪いますが、誰も手を休めません。したたる汗をぬぐいもせず、黙々と作業を続けるOBの藤田充さんは「テストフライトで尾翼が一部破損し、機体の完成はギリギリでした。とにかく今日中に終わらせたい」と話します。
横田晃輔さん(知能機械工学科2年)は「出場が決まったとき、"2・3年生がリードして、1年生には無理をさせない"と話し合ったのですが、実は1年生がとても頑張ってくれたんです」と教えてくれました。
1年生の功労者、小田寛朗さん(知能機械工学科)は「人力飛行機同好会の存在は入学してから知りました。飛行機の設計等に興味があって入部。責任者の田邉拓也さん(知能機械工学科3年)や司令塔の川邊大輝さん(電子情報工学科4年)の状況把握は素晴らしく、心から尊敬する存在です。先輩やOBの皆さんの存在は、精神的な支えでもありました」と語りました。
OB、先輩の鳥人間コンテストへ懸ける思いは後輩へと、しっかり伝わっています。
この日の彦根市は、最高気温35度の猛暑日
主翼に翼皮のフィルムを貼って仕上げます
コクピットと翼の継ぎ目も入念に貼り合わせ
プラットホームは、広島工業大学駐機場の目の前!
琵琶湖畔に翼を広げ「雙鶴」降り立つ
翌日の本番出場までに、機体を完成させ、審査員による厳しい機体チェックをパスしなくてはなりません。後から到着した他チームが、先に組み立てを完了する中、慣れない作業に焦るメンバーたち。人数も経験も足りませんが、そこはOBやメンバーの結束でカバーし、作業を続けました。
細部にわたって審査員による機体のチェックが行われます
審査員から指摘された箇所を修正
最終的な機体チェックの合否は、翌朝に持ち越されましたが、指摘された箇所を翌朝までに修正するという条件で仮合格をもらうことができました。
左側のマークは初出場チームを示すものです
審査合格のシールを機体に貼ります
(上:設計図合格、下:機体チェック合格)
ひときわ真剣なまなざしで作業を手伝っていた、OBの寺岡優治さん。機体「雙鶴」の設計者です。設計にあたり「しっかりしたノウハウを持つ九州大学さんや同じ広島からプロペラディスタンス部門に出場する広島大学さんなど、他の強豪校の特徴を分析し、毎年"これならいける"と思って設計し、応募し続けました」と振り返ります。
石田智弘さん(知能機械工学科4年)は「先輩たちの今までの努力、毎年の積み重ねがあっての出場」と、出場を陰で支えた寺岡さんの功績を讃えます。
「雙鶴」は、優雅に飛ぶグライダーをイメージし、基本に忠実に、かつ滞空時間を長くするよう設計されたものです。「こうして、みんなの力で形になって感無量です。今はただ、無事に飛んでほしい...」と寺岡さん。
その思いを乗せて飛び立つ操縦士の城戸基輝さん(知能機械工学科2年)。「本番に向けて体を絞りました。こんなに大勢の人がいる中でただ一人、操縦士として関われるのはすごく光栄なこと。パソコンのシミュレーターでつかんだイメージを実践したい。明日はみんなにTシャツに寄せ書きしてもらって飛び立とうと思っています」と笑顔で意気込みを語ってくれました。
広島らしく、しゃもじで必勝祈願
夜はメンバーが交代で機体を見張りました
そして翌朝、フライト当日を迎えます。その模様は、次回お伝えします。お楽しみに!
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