IT、環境、生命...時代の未来像が見えてくる! ~第2回オープンキャンパス開催(2)
2017.09.28
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模擬講義、AO入試対策講座、水ロケット大会...多彩なイベントで充実の1日。
8月20日の日曜日に開催された今年度第二回目のオープンキャンパスにも、高校生やその保護者など多くの方々にご来場いただきました。各学科やイベント担当者が、自分たちの研究や活動について少しでも知ってもらおう、技術や科学に楽しみながら触れてもらおうと用意した様々なプログラムは、どれも好評を博していたようです。
行われたプログラムやイベントの様子を、ほんの一部ですがご紹介します。第2弾の今回は、情報学部・環境学部・生命学部の6学科を中心にお伝えします。
500mlペットボトル2本を使って自作した水ロケットを飛ばし、飛距離を競い合う「高校対抗水ロケット大会」。本学オープンキャンパスにおける名物企画になっています。
準備が出来たら、発射台へ。1チーム3回チャレンジし、最も飛距離の出た記録が認定されます。さあ発進。一気に飛べ!!!!今年の最高飛距離は、117mを記録しました。
大学の講義を体験。これは食品生命科学科の「酵素として働くタンパク質」という講義。高校生は先生の話を聞きながら、大学生になった気分を味わいます。
この写真は建築デザイン学科でのAO入試対策講座の様子。制限時間90分で、紙やテープなどを使って住宅の模型を組み立てる、という課題に高校生は、真剣そのもの。
学内レストラン「LEAF GARDEN」は、この日に限り特製メニューを無料で楽しめます。オムライス、カレー、パスタにラーメン、どれも美味しそう!
お昼近くになると多くの来場者がレストランを訪れていました。メニューの中で最初に売り切れたのは「温玉ロコモコ丼セット」でした。
世界中の科学者が参加する巨大プロジェクトを模擬体験。
~情報工学科
情報工学科の長坂先生は、物理学分野で世界的に権威のある欧州の合同研究所「CERN」のプロジェクトに参加しています。ATLASという測定器で検出したデータを、全世界の研究者と協力して解析しているのです。このワークを介した分散型データ収集システムを、規模を小さくして再現しました。2台の端末があり、1台には加速度センサが、もう1台には照度センサが取り付けられています。それぞれの端末が加速度・照度の情報を収集し、リアルタイムでパソコンに送る、というものです。世界レベルの研究がどうやって行われているか、その一端が理解できます。
CERNの研究は、世界の約3000人の科学者で構成され、実験データは、1秒間にCD10万枚分にもなります。こうした研究にこそ、ネットワークを利用した分散型データ収集システムが有効です。
写真右下にある端末が、それぞれ加速度センサ、照度センサを取り付けたもの。写真左は、ATLASの模型をおもちゃのブロックで作ったもの。中にあるオレンジの人形が、人間サイズを表しています。ATLASとはこれほど巨大測定器なのです。
コンピュータ、ネットワーク、マルチメディアなど高度情報化社会に不可欠の情報技術が学べる情報工学科。他にデータハイディング技術を使った「画像や音声信号への情報埋め込み」「組込みプログラミング体験」といったプログラムが、評判を呼んでいました。
自分自身で気づいていない、本音を探れ!
~知的情報システム学科
ヒット商品を生むためには、購入者に対するリサーチが欠かせません。しかし、ある商品を手に取った人に「なぜそれを買うのですか?」と質問し「おいしそうだった」と答えたとしても、それが本音の回答とは限りません。アンケート調査では必ず、建前の回答が含まれるもの。そういった建前を失くし、人々の深層心理に横たわる本音に迫ろう、というのがニューロマーケティングリサーチです。脳波や脳血流を分析して、当人が見たものが脳に与える影響を測定したり、アイカメラによる視線の分析で、本当の興味はどこにあるか、などを分析します。
ヘッドセットを用いて脳波などの情報を取得。本人に見せた映像が脳に与える影響を測定しています。
アイカメラを利用し、人の視線を分析。深層心理で何を考えているのかを分析します。
ATMやタッチパネル式の発券機など、社会生活に不可欠な情報システムの企画・設計・開発・運用に必要な情報を高度に活用するための専門的な知識を学ぶ知的情報システム学科。他に「バーチャルリアリティ体験」や「エンタテインメントの次世代インターフェースを模索する」などのプログラムが好評でした。
在学中から建築コンペにも積極的に参加。
~建築デザイン学科
建築デザイン学科の学生は、1年次で住宅の設計を行います。2年でカフェを、3年でオフィスビルを...と知識を積むごとに規模が大きくなり、4年では街や公園、大型公共施設などに取り組みます。また、建築系学生がアイデアを競い合う、学外のコンペにも積極的に参加。3年連続最優秀の評価を受け、実際に建築されました。下記の模型は、宇品の海岸沿いに立つ公衆トイレ。とんがり帽子のような屋根は、夜になると暗い通りを照らす街灯にもなります。学生たちがいかに実践的な力を修得しているか、これらの作品からわかります。
4年生の卒業制作の数々。アイデアや工夫が散りばめられたこれらの建築物ができると、街がもっと楽しくなりそう。
最優秀賞を受賞した「宇品海岸の公衆トイレ」。とんがった屋根の部分が街灯にもなるという斬新な発想が高く評価され、今では地域の新しいシンボルになっています。
建築、インテリア・木工、デジタルデザインを柱として、人々の住環境をプロデュースするための技術が学べる建築デザイン学科。他にも「あなたの1票で決定。1年生製作のベンチコンテスト」「建築家と話してみよう」といった様々なプログラムに、来場者は興味深く見入っていました。
自作の検査器具で、ヒートアイランドの実態を明らかに。
~地球環境学科
都市部における気温上昇の要因とされるヒートアイランド現象。その現象を調べようと、学生たちは温度・湿度・気圧の測定器を断熱材でくるんだ検査器具を自作しました。これを自動車の屋根に取り付けて広島市内を走行し、温度・湿度・気圧を片っ端から測定するのです。狭い道は、検査器具を背負って原付バイクで走り回りました。その結果、ビルの集中する中心街での温度上昇は著しく、反対に公園や河川沿いなどで低温になることが実証できました。一口にヒートアイランドと言っても、その強度には地域によってばらつきがあることを確かめたのです。
写真内の銀色に光る物体が検査器具。自動車だけでなく、広島電鉄にも協力してもらい路面電車に装着するなどして、広島市の都心部の温度・湿度・気圧も測りました。
金具を取り付けると背負うこともできます。狭い道は、この状態で原付バイクに乗り測定。ヒートアイランド現象の実態を明らかにしました。
人工衛星データの解析、気象・災害研究、生態系保全など、地球環境に関わる幅広いテーマが学べる地球環境学科。ほかに「身近な地域を人工衛星で調べてみよう」「生物多様性の危機!絶滅危惧種を保全する!」といったプログラムに、多くの人々が足を止めていました。
最新の医療機器に触れ、経験を磨く。
~生体医工学科
自発的な呼吸の難しい患者さんに装着する人工呼吸器。患者さんの状態は日々変化し、肺の硬さや大きさには個人差があります。あらゆる状況に対応し、医師の指示に従って確実に空気を送るよう、適切に操作しなければなりません。例えば一定量の空気を送ることばかりに気を取られていると、肺の硬い患者さんなどの場合、肺を破裂させるという最悪の事態を招きかねません。ミスを防ぐためにも、様々な配慮が欠かせないのです。生体医工学科の学生は、実際に医療現場で使用されている機器を操作し、実践能力を養っています。
あらゆる点に配慮し、人工呼吸器を適切に操作・管理できるようになるまでには、何度も機器に触れ、経験を積む必要があります。
こちらは人工透析の際に使用するダイアライザを組み立てている様子。ダイアライザとは血液中の不要な老廃物や水分を濾過するための装置のことです。
工学と医学の両面から、多機能な医療機器を操作・保守点検・管理する技術に加え、チーム医療の一員として貢献するための知識も学ぶ生体医工学科。他には「透析器(ダイアライザ)を組み立ててみよう!」「実践!バーチャル人工呼吸器操作トレーニング」など、工夫をこらしたプログラムが興味を引いていました。
今秋完成予定の新棟を大公開!
~食品生命科学科
2017年秋に完成予定の新棟には、主に食品生命科学科の研究スペースや設備、ゼミ室などが設置されます。今回のオープンキャンパスで、建設途中の新棟が初めて公開されました。
1階には学生実験室や、食品研究を行うための加工室、試作・官能検査室、食品機能健康評価室、微生物の培養室など。食品加工室には、回転式蒸気釜、通風乾燥装置、凍結乾燥装置など、食品工場に整備されているものと同等の設備を導入し、既存のプレートヒーターやレトルト殺菌装置とあわせ、食品企業と同じ環境で、食品の企画、製造、開発の流れを学ぶことが出来ます。2階にはゼミ室のほか、動物細胞実験室、植物細胞実験室、微生物細胞実験室、化学分析実験室、恒温・低温実験室など、主に生命科学系の実験室が並びます。3階も学生のための実験室がずらり。食品生命科学科の研究や教育が、いっそう充実するでしょう。
1階の学生実験室。基礎化学実験や生物学実験などの講義・実験に利用されます。食品・生命科学系の学科でこれだけ充実した実験室は、あまりありません。
2階には微生物細胞実験室、植物細胞実験室など、主に生命科学系の研究に用いられる設備が並んでいます。
生命科学、食品科学の2分野から、食品開発・製造に必要な生体機能や遺伝子の働きを学べる食品生命科学科。他にも食品実験棟では「微生物の力を利用してパンを作ってみる」といったプログラムなど、食品・植物・健康・醸造・発酵についての研究が注目を集めていました。
(番外編)「鳥人間コンテスト」に挑戦した学生たち
~HIT SKY Project
今年8月、同好会発足以来の悲願である「第40回鳥人間コンテスト2017」への出場を実現させた人力飛行機同好会「HIT SKY Project」。広島県からはHIT SKY Projectを含めて、まだ3団体しか成し得ていない難関です。その本大会を終えたばかりの機体が展示されました。琵琶湖の湖上に輝いた、白い翼。しかし、学生たちの挑戦は終わりません。より遠く、より高い人力飛行を達成するまで、彼らの努力は受け継がれるのです。
翼長22m。プロペラなしのグライダーで、高さ10mのところから3人が機体を押すことで大空を滑空します。設計・製作とも学生たちが自らの手で行いました。
最も難しかったのは、翼の骨組みとなるリブを均一に、全て平行に揃えること。パイロットとなった学生は「チーム全員が協力して製作したおかげで飛ばせたのだと思います」と語ります。
今年度のオープンキャンパスはこれで全て終了。広島工業大学で進められている研究や学びについてご理解いただけましたでしょうか。今回のイベントやプログラムが、来場者、特に高校生の方々の知的好奇心を刺激できたなら、これほど嬉しいことはありません。