企業、行政、大学が一体となり地域に貢献を 地域連携技術研究協力会 設立総会・講演会開催
2018.06.08
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広島工業大学が新たに設立した「広島工業大学地域連携技術研究協力会(HITスクエア)」。これは大学の知財である専門知識や技術(研究シーズ)を企業や行政のニーズに役立て、産(企業)・官(行政)・学(大学)が連携して地域に貢献することを目的としています。そのHITスクエア設立総会・講演会が4月24日にリーガロイヤルホテル広島で行われました。
企業・行政と大学がより深くつながるために
本学はこれまでも地域連携、産学連携を積極的に推進してきましたが、今回HITスクエアを設立することでさらなる連携の強化を図ります。具体的には、電気・電子、機械、建築、情報システム、環境・土木、食品・生体の6部会で構成される「産業技術研究部会」を設置。技術相談や講演会・講習会の支援、情報交換など人材育成を行う一方、新たな技術研究プロジェクトを推進し、地域産業の発展をめざします。会員数は4月23日時点で法人・個人合わせてすでに100会員。県内外の企業、行政、研究機関などから多数の参画をいただいており、総会当日は半数以上の78会員にご出席いただきました。
会場はリーガロイヤルホテル広島3F「宮島の間」。受付には続々と会員様が集まってきます。
平日にも関わらず会員様でほぼ満席状態となりました。
事業計画案、収支予算案が可決。新たな一歩を踏み出す
午後3時、総会に先立ちHITスクエアの会長を務める鶴衛学長が挨拶。少子高齢化、地方の過疎化といった社会問題に触れ、「このHITスクエアが有意義な場となり、広島の地域創生につながることを期待したい」と述べました。続いて事業概要説明では、企業側のメリット(単独では克服できない技術課題の解決や新たな試みが、大学の研究シーズを用いることで可能になること)と大学側のメリット(研究活動の深まりや、企業ニーズを新たな研究シーズの発掘につなげられること)を解説。HITスクエア全会員にとってWIN-WINの関係をもたらすものであることを伝えました。最後に事業計画案、収支予算案、運営員互選についての議決があり、出席会員様の満場一致で可決。総会は滞りなく終了しました。
左から副会長の生田文雄様(株式会社広島建築住宅センター取締役相談役)と会長の鶴学長。お二人によって総会は進行します。
参加会員様の拍手により、事業計画案や終始予算案など無事承認いただきました。
モノづくりは人づくり。「松下幸之助創業者とモノづくり」記念講演会
総会に続いて記念講演会が開催され、パナソニック株式会社モノづくり研修所所長の登和則様にご登壇いただきました。テーマは「松下幸之助創業者とモノづくり」。松下幸之助の生前の貴重な映像やモノづくりエピソードを通して、自分たちの技術を社会に役立てたいという「強い意志」や顧客の立場になって考える「客観性」など、人間観や経営観についてお話くださいました。
「創業者の言葉『モノをつくる前に、人をつくる』は技術者の高齢化が進む昨今、ますます重要になってくる」と登様。
講演後は「モノづくりのマネジメントとは何か?」といった質疑応答が活発に行われました。
早くもつながりが生まれる情報交換会
講演会終了後は会場を「瀬戸の間」に移して情報交換会が開催されました。軽食とお酒が振る舞われ、終始和やかな雰囲気で会は進行。本学教員と会員様との間で名刺交換や、研究内容・事業内容の活発な意見交換を行うなど、交流を図る様子が数多く見られました。
情報交換会は、HITスクエアの発展を祈願し乾杯でスタート。
総会の雰囲気とは変わり、会場にはリラックスしたムードが漂います。
本学の「発酵ものづくり研究センター」が、中国醸造株式会社に協力いただいて完成させた純米吟醸酒「華の凛酒」が振る舞われました。
「HITスクエアから広島のモノづくりを盛り上げたい」 学長インタビュー
HITスクエアはまだはじまったばかり。今後の展望から企業と一緒になって考えていければと思っています。企業は今、どんな課題を持っているのか。その課題に対して本学はどのように関わり、応えていけるのか。お互いにしっかり意見交換してからスタートさせます。そのためにまず6部会合同で話し合う場を設け、相互理解に努めてから各部会に展開していきます。広島発の新しい技術や製品がHITスクエアから生まれてくることを願っています。
鶴学長は「様々な意見をもとに柔軟に対応し、どういう会にすべきか考えていきたい」と話します。
参加会員様の声 増矢学様(公益財団法人中国地域創造研究センター専務理事)
私どもの組織は、事業の一つに大学と地元企業を結ぶ産学連携のマッチングを行っています。今までは大学と地域の中小企業が共同する際、ニーズが合わず実現が難しいことがありました。しかしHITスクエアの設立によって、大学と企業の距離が縮まり、スピーディーな情報交換が可能になります。それにより企業と大学のミスマッチも少なくなり、スムーズな連携を築けるようになると感じています。HITスクエアが、地域の課題に一層密着した研究開発の場になることを期待しています。
「教員の持つ知識やノウハウをお借りし、一緒になって地域のお役に立てればと思っております」と増矢様。
総会を経て、いよいよ本格的に始動するHITスクエア。地元企業と広島工業大学が協力し合い、高めていくことでどんな技術や製品が生まれてくるのか。今後の動向に期待が高まります。