「トランジスタ回路の実験」を通じ、電子回路の基礎を学ぶ~電子情報工学科社会実践科目
2022.02.03
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本学は 2020年から導入している新教育プログラム「HIT.E ▶2024」の一環として、1・2年次を対象にした授業「社会実践科目」を新たに設けています。この科目を導入した目的は、より実践的な学びを通じて、学生の「社会実践力」を磨くことです。社会にかかわる課題をテーマに、学科ごとに多彩な授業を開講。学生は自ら課題解決をするために、多様な人と協働しながら学びを深めています。
今日は電子情報工学科の社会実践科目の様子を紹介します。
電子デバイス、回路・通信、情報ネットワークの3分野の学びを深める電子情報工学科では、4つの社会実践科目を実施。約15人が1グループになり履修しています。
今回は、2年次を対象にした回路・通信分野の学び「トランジスタ回路の実験」の授業を行いました。
学生が設計した電池で動く1石トランジスタ増幅回路で無電源AMラジオからでるとても小さな信号を増幅させ、スピーカーを鳴らす
本授業では回路学習キットを用いて、トランジスタの特性や基本的な使い方を学び,回路を作る実践として、実際にトランジスタを用いたアナログ増幅回路の設計・製作に挑戦します。
「トランジスタ」の発明は、今日のエレクトロニクス時代の幕開けとなったとも言われており、微弱な信号を増幅させることや、電気の流れを高速にスイッチングすることなどがその役割です。現代文明を支えている集積回路(IC)もこのトランジスタを組み合わせて構成されており、CPUなどの最先端のICは、億単位のトランジスタで構成されています。
トランジスタの特性を知ることは、電子分野を学ぶためには欠かせないこと
画面の黄色の線が入力信号で、青色の線が出力信号。このように振動が大きくなり綺麗な出力波形を描けば実験は成功
「今日の実験内容を座学で理解するのは大変なこと。今回の実験も全てを理解できた学生は少ないでしょう」と話すのは、授業を担当した山内教授。
「回路設計では、諸説ありますが、デジタル3年、アナログ10年などと言われることもあるように、アナログ回路を理解することは難しいことです。しかし、現代文明に必要不可欠な技術であり、そのような技術の原理原則を理解しているのといないのでは、問題を解決する能力に大きな差が出てきます。今はその基礎体力を養っている時期で、実験を通じて失敗を繰り返しながら、まずはトランジスタがどのようなものかを体感し、理解してもらいたい」と語ります。
設計作成したトランジスタ増幅回路をつなぐと、イヤホンでしか聞けなかったラジオの声が教室内に響く
大学院生が授業に参加し、経験の浅い学生たちをサポート
この日の授業では、サポートとして大学院生が4人参加。苦戦している学生に声をかけながら、ここはこのようにしてみるといいのでは?と解決策のヒントを学生へ伝えていました。
山内教授は、回路の働きを身近なもので感じられるように、そしてものを作って動いた時の喜びを体験してもらえるようにと無電源ラジオにつなぐなど工夫を重ねた授業を行う
早々に完成させた平石さん(島根県立飯南高等学校/島根県出身)は、「実験内容が充実していて、途中わからないこともありましたが、大学院生の先輩方に教えてもらい完成することができました。1年次は座学が多かったのですが、実験になると理解が進んで楽しくなりますね」と話してくれました。
電子デバイスや情報ネットワークの授業も受けることで、自分の興味関心がどこにあるのかがわかったと話す平石さん
今回のグループは、無電源ラジオの音を設計・製作した回路を用いてスピーカーで鳴らすところまで体験することができました。
このように本学では、異なる学年の学生が協力しながら、実践に結び付いた授業を通じて、学びを深め、学修意欲を高める支援をしています。
※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。