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2007年に本学大学院環境学研究科（地域環境科学）を修了後（株）日本設計で活躍する塚川譲さんが、
2021年度「JIA優秀建築賞」を受賞しました。受賞作品は「熊本城特別見学通路」。応募総数245作品から「優秀建築選」100作品に選ばれ、さらにその中から現地審査候補6作品に選出。現地視察と公開審査のプレゼンテーションを経て、見事「JIA優秀建築賞」に輝きました。広島工大出身者として初、（株）日本設計としても初という快挙です。「熊本城特別見学通路は10数の賞を受賞した実績があったので100選までは進めるのではないかと期待していましたが、現地審査候補の6作品に選ばれた時の喜びはさらに大きかったですね」と塚川さん。筆頭設計者の受賞年齢では最年少タイの記録でもあります。

• ※熊本城特別見学通路についてはこちら

熊本城特別見学通路はそれまでにも日本空間デザイン賞やグッドデザイン賞ほか15の賞を受賞していましたが、今回「JIA優秀建築賞」を受賞したことへの喜びを、塚川さんはこのように語ってくれました。
「建築物そのものはもちろん、同時に建築家としても認められた証として受け止めていて、その点でも非常にうれしい気持ちです。熊本城特別見学通路は一見すると『橋』です。本来、橋は『土木』であって、建築家が設計するという認識ではないので、今回も、これは『建築』『土木』『仮設物』どれにあたるのかという点で、評価が分かれ議論が重ねられました。建築としての意義を私自身も丁寧にプレゼンテーションし、結果的に審査員の方から『城と一体となった空間を、来場者に体験させ、感じさせるという機能を果たしている。これは建築でなければできないことだ』という言葉をいただいたことで、私が建築家として設計した意味をなすことができたという思いです」。

熊本城特別見学通路という過去に類を見ない一大プロジェクトを成功に導いた塚川さんが今後、めざすのはどのような建築なのでしょうか。
「熊本城見学通路は、いわゆるオフィスビルやホテルや商業施設のように多機能ではなく、シンプルな機能を果たす建築だと思っています。その中で、城内の敷地ならではの風、光、自然が見せる表情を非常に細かく読み取りながらデザインしていきました。現在、海を臨むリゾートホテルの設計に携わっているのですが、それぞれの敷地がもつ表情を表現していきたいですね。その場所にマッチする建築物が生まれることで、その地域で暮らす人からも、外から訪れる人からも喜んでもらえるのではないかと思います。人々の心が豊かになるような、環境と調和する建築を追求していきたいと思います」。

卒業して（株）日本設計に入社して以来、国内外で快進撃を続け、今もなお挑戦し続ける塚川さんの生み出す建築は、その空間を体験した人の心に語りかけるものであり、そんな姿勢で目の前の一つ一つの建築と向き合う塚川さんの背中は、これからも多くの学生に刺激と勇気を与えてくれるのではないでしょうか。今後のますますのご活躍をお祈りしています。