地域社会へ研究や学びを提供「公開講座」を開催しました~後編~
2022.06.29
このニュースは、クローズされました
一般の方々を対象に、大学の研究や技術動向について解説するため、毎年定期的に実施している本学の公開講座。今年度はテーマを「Society5.0を支える情報技術~一人ひとりの豊かな未来社会の実現に向けて~」とし、情報学部の教員が多様な角度から講義を行いました。
5月21日の講座を担当したのは、情報工学科・寺西准教授と情報コミュニケーション学科林教授です。
ITによって未来の社会がどうなるか、考察しました
寺西准教授は「古くて新しいAI:ニューラルネットワーク」と題して講義を進めました。
「AIが高度な判断・作業を行うためのベースに機械学習があります。ニューラルネットワークはその手法の一つであり、1950年代後半から研究されてきました」
と、准教授は歴史を紹介。
「ニューラルネットワークは脳の神経伝達回路を参考に数学的にモデル化したもので、明確な指示はなくとも、パターンと推論から答えを導き出すことができます。現在は第三世代となり、ディープラーニングで良好な結果を示すまで向上しました。一方、なぜ高度なタスクをこなせるのか、中間の仕組みが人間にわからない、という新たな課題が生まれています」
と指摘しました。
「機械学習の進化で、物体認識や連続音声認識などが可能になった」と寺西准教授
人間が指示した見分け方を、システムが自動で学習します
林教授は「AI時代を生き抜くために必要なこと」という題目で講義しました。
「今日、変化が早く不確実性も高いVUCA時代に突入しました。そんな中、IoTやAIなどによるSociety5.0が、高齢化・地域間格差・環境・貧困などの課題を解決するカギになります」
と、教授は日本の将来像を解説。
「しかしAIは万能ではありません。入力データに偏見があれば、AIが出力する結果も差別や偏見を含んだものになりかねません。AI技術が進展すると、与えられた目的を実現する手段は賢くできるようになるため、与える目的自体の是非の議論がより重要となります」
そう教授は強調します。
「失敗を恐れず一歩踏み出す勇気を持ちましょう。それこそ人間にしか持てない力です」
と呼びかけ、公開講座を総括しました。
VUCAとはVolatility(変動性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもの
「仮説思考、自己変革力、ネットワーク構築力が大事になる」と林教授
さまざまな技術解説や将来予測に、聴講した方々も概ねご満足だったようです。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
広島工業大学は今後も最先端の研究・技術を紹介していきます。ご期待ください。