宮島町家のまちなみ保全を考える「宮島・土曜講座 2022」を開催しました
2022.10.28
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2010年にスタートし今年で13年目を迎える宮島・土曜講座を、etto宮島交流館(宮島まちづくり交流センター)で開催しました。
この講座は、本学のプロジェクト研究「宮島町家・まちなみ保全研究センター」の研究成果発信の一環として実施するほか、廿日市市との包括的連携協力事業の取り組みの発信も併せて行うものです。学内外から講師を招き「まちづくり」に関連する講座を展開しています。
当日はオンラインでも同時開催。会場と合わせて40名ほどが参加した
今年度は、10〜12月に3回の講座を企画しています。1回目となる今回は、広島大学大学院先進理工系科学研究科の森 拓郎准教授を講師に迎え、『町家の耐震性能調査と木材の生物劣化』と題して講話いただきました。
講師を務めた森 拓郎准教授
司会進行は建築デザイン学科の光井准教授と環境土木工学科の伊藤教授が担当
宮島の町家通りは、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されています。今回の講座では、伝統的木造建築物や街並み保存への理解を深めるため、耐震性能調査と木材の劣化について森准教授にお話しいただきました。
森准教授は、宮島と同じく重伝建に指定されている福山市の鞆の浦地区にある伝統的木造建築物34棟を対象として実施した耐震診断結果について紹介。講座の前半では、伝統的木造建物に適した合理的な補強量の算定方法を示し、木造建物の耐震対策についてお話しいただきました。耐震診断からは、間口が狭く奥行きが長い形状をした町家建築が間口方向で損傷する可能性が高いことがわかり、1階間口方向の耐震性能を高めることが建物全体の耐震性向上につながるという結果に。また、比較的簡便な「一般診断法」の結果から合理的な補強量の推定が可能であることをご教示いただきました。
後半のテーマは木材の劣化について。さまざまな原因の中で、最も劣化が速く木材特有のものでもある生物劣化(シロアリを含む)について、事例を交えてお話しいただきました。森准教授は「木造を長く使い続けるためには生物劣化について詳しく知ってもらいたい」と話し「生物劣化が起こったらどうなるのか、原因を突き止めて対処することが大切であり、解する一助になれば幸いです」と講座を締めくくりました。
参加したのは、まちづくりに関わっている人や建築に興味がある人など
町家通りの伝統的建造物の改修経験もある建築士から、込み栓や土壁の耐力をどう評価するか、シロアリ対策など現場で困っていることについての相談もあった
宮島・土曜講座の第2回は11月12日に『アーケード商店街とまちづくり』を、第3回は12月10日に『宮島口地区のまちづくりについて』をテーマに開催する予定です。また同日の午前中には、まちづくり情報の提供や、まちづくりをテーマとしたオープンゼミ『オープンこもん』も実施しています。ご興味のある方は奮ってご参加ください。
〈お問い合わせ先〉 伊藤 雅(いとう ただし) |
※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。