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（一社）広島県建築士事務所協会と（一社）日本建築士事務所協会連合会が主催する「第11回建築士事務所とつくるこだわりの建築展」の特別展示として、木製パビリオンを制作・展示しました。このパビリオンは、コンピューテーショナルデザイン・デジタルファブリケーションについて研究する、建築デザイン学科 杉田宗研究室が手掛けたもの。会場の中心部に設置された斬新なデザインのパビリオンは、訪れた人の目を惹きつけていました。

パビリオンには、パネル展示の什器としての役割もあった

本企画はデジタルファブリケーションの研究に着目された同協会から、お声掛けいただき実現したものです。デジタルファブリケーションとは、デジタルデータをもとにレーザカッターやCNC加工機といったデジタル加工機を用いたものづくりです。杉田研究室ではコンピュータによるデザインから設計データの作成、設計データを加工機と共有し部材加工を自動で行い、組み立てるという過程を研究しています。
木製パビリオンはこの技術を用いて制作したもので、同研究室の大学院2年次の佐藤さん（広島県立河内高等学校出身／広島県）と阿部さん（香川県立石田高等学校出身／香川県）が中心となりプロジェクトを運営しました。

プロジェクトリーダーとして全行程を管理した佐藤さん

「今回のデザイン案は杉田先生が提案してくださり、実現可能なプランへの調整や部材の調達を担当しました」と佐藤さん。約20人のサポートメンバーを統括し、加工や組み立ての指揮もとりました。「授業ではこれほどのサイズのものをデザインしても、施工することはないので貴重な機会をいただけて感謝しています。また、多くの人の協力を仰ぐことの大変さや楽しさが知れたのも良い経験になりました」と話してくれました。

コロナ禍での開催を考慮し、正面から一方通行で展示をみる設計に

赤い糸を張り巡らせ、重ね合わせた糸の周期のずれにより視覚的に縞模様が発生する「モアレ効果」を生み出すことをめざした

一緒に展示した椅子は、建築デザイン学科の学生が授業で制作したもの

阿部さんが設計した受付台も木製パビリオンとテイストをそろえた

「佐藤さんだけでなく関わってくれた学生たちが、それぞれに貴重な経験をすることができました」と杉田准教授は振り返ります。「先輩の指揮のもと作業を行うことも、彼らが先輩になったときに役立ちます。工具もあまり使ったことのない学生には、これほどのサイズの物の制作に関われたことで、これからの方向性を見出す学生もいるでしょう。座学では得られない学びが詰まったプロジェクトでした」。

杉田 准教授はデザインに依頼主の意向だけでなく研究の要素も盛り込んだ

同協会の住宅委員会委員長の高橋幸子さんからは、「本展はエンドユーザーと建築士事務所の接点として開催し今回で11回目を迎えます。新しい試みとして、広島工業大学の皆さんと接点を持てたのは新鮮な経験でした。これを機に若い世代との交流も深めていきたいです」と感想をいただきました。

「委員会メンバーが満場一致で、このデザインを採用した」と話す高橋さん

展示会には、建築デザイン学科の学生たちも見学に訪れました。三浦さん（山口県立光高等学校出身／広島県）、杉原さん（山口県立柳井商工高等学校出身／山口県）沖さん（広島市立広島工業高等学校出身／広島県）は、「実際のサイズがこれほど大きいとは思わなかった」「自分たちもいつかは作ってみたい」「見る角度で表情が変わる」など驚きの声をあげていました。

パビリオンのサイズはW3000×D8000×H2400

最後にお世話になった協会の皆さんと一緒に

（一社）広島県建築士事務所協会の皆様、このたびは貴重な経験をありがとうございました。

※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。