全国9工科系大学が、宮島町家の課題解決に取り組む~工大サミット連携PBL(解決提案編)
2022.11.04
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愛知工業大、大阪工業大、神奈川工科大、芝浦工業大、東北工業大、福井工業大、福岡工業大、北海道科学大、そして本学の、全国9工科系大学の学生が協力し、宮島町家の保存・活用に取り組む大学連携PBL(課題解決型学習)。その後半プログラム(解決提案編)を実施しました。今回は8月に実施した前半プログラムで発見した課題を基に、解決策を提案しました。(前半プログラムの内容はこちら)
解決提案編の1日目は、再び宮島に集合。北海道科学大の学生もグループに加わり、総勢56名になりました。
参加した学生たち。宮島・五重塔をバックに
課題発見編から約1か月ぶりに再会した学生たちは、早速調査の方針を検討。
さらに追跡調査を行って疑問を解消するのか、あるいは観点を変えた調査を行って課題を多面的に検討するのか。学生たちはポイントを絞った上で、それぞれ行動を開始しました。
「町家を、もし誰かに貸すとなったらどうですか?」と住民に具体的に質問
町家通りや表参道の空き地や駐車場、休憩所の数をカウントして回る学生たち
「観光」ではなく「日常生活に必要な店舗」などをマッピング
西町と東町の町家の建築が、時代に合わせてどう変化しているか調査
前回の調査でもらった町家の見取り図から3Dの町家のモデリングを作成
地域も大学も学科も学年も違う学生たちが、一堂に会し、同じテーマに取り組むことで、学生たちはさまざまな刺激を受けていました。
愛知工大の学生「フィールドワークの進め方も、それぞれの大学の違いを感じられて楽しいです」
大阪工大の学生「他地域の学生は価値観も文化も違っていて面白いですね」
神奈川工科大の学生「他大学の学生は現地調査もスライド発表も堂々とこなしていてすごいです」
芝浦工大の学生「自分の知っているものとは異なるグループワークの進め方を学びました」
東北工大の学生「みんな得意分野が違うので、さまざまな意見を聞けるのが参考になります」
福井工大の学生「上級生が下級生にやり方を教えるなど、協力体制が自然にできました」
福岡工大の学生「工大サミットという大きな枠組みの中でまちおこしに関われるのが楽しいです」
北海道科学大の学生「グループをまとめる先輩の姿を見て、自分もそうなりたいと感じました」
広島工大・岡田さん(広島県立大門高等学校出身/広島県)「優秀な人たちがいろんな意見を出すので、テーマを深められました」
広島工大・佐々木さん(広島県立呉商業高等学校出身/広島県)「他の人が積極的に住民に質問する姿を見て、調査のやり方を学びました」
工大サミット連携PBL最終日は広島工大で実施。
午前中は各班とも、発表用のスライド作成に没頭。限られた時間の中で、協力しながら資料を作り上げました。そして午後からは、いよいよ最終発表です。
1班は宮島の夜景と朝の厳かな雰囲気をターゲットとして、宿泊してこそ楽しめる宮島の姿を追求
夜景やナイトクルーズ、静かな朝や、潮の満ち引きで景色が変わる様子を楽しもうと呼びかけました
2班は宮島西町に注目し、歴史や文化といった独自資源を活かしたコミュニティー形成を提案
町家に縁側を設けるなどの工夫により、町内コミュニティーを活性化させようとしています
3班は、宮島に宿泊する学生が少ない問題を解決しようと、学生向け宮島ツアーを考案
町家での食事や、文化継承体験をさせることで、宮島のさまざまな景色を楽しめる内容になっています
4班は、空き地を休憩所に変えることで、町家の風情を損なうトタン補修を減らそうと提案。
休憩所ができればトタン補修が不要になり、観光しやすくなるという、一石二鳥の解決策です
5班は、町家通りに人を呼び込むための、魅力溢れるポスターを作成
町家通りでどんな店が商売しているか、なぜそれを始めたか、など多面的に紹介しました
6班は、東町から西町まで広く観光してもらうための手段を、さまざまな観点から考えました
昔の船着き場を利用して小型船での移動を実現するなど、ユニークな提案に溢れていました
7班は、宮島への移住を希望する人々に向けたパンフレットの制作を提案
「宮島ライフブック」と名付けたパンフレットの中で、日用品が買える店や、住める場所を紹介しています
8班は、町家通りを保全・継承するため、学生の力をもっと活用できないかと考察
独自に町家のパースを作成し、学生がそこでどう生活できるか、までイメージさせています
最後はゲスト審査員が各班の提案について講評。
廿日市市役所の二宮さんは、「ポスターや移住者マップ、学生向け観光プランなど、すぐに実行に移せる提案がたくさんあった」と好評価。そして本学の森保洋之名誉教授は、
「どの班もよい課題発見に基づき、なるほど!納得!という提案内容でした。わずか4日間でここまでまとめ上げたことは素晴らしい」と、学生たちのがんばりを讃えました。
「町家保全にとって、学生の参加は重要」と森保名誉教授
「学生の自由な発想はとても参考になる」と二宮さん
バックボーンの異なる学生たちが、力を合わせて「宮島町家」に向き合った4日間。短くも充実した時間の中で得られた体験は、彼らの今後の糧となるでしょう。
終了後、学生たちはお互いの努力を称え合い、将来の再会を期してそれぞれの帰途につきました
参加学生の皆さん、広島までお越しいただきありがとうございました。
皆さんの今後の活躍を願うとともに、今回の学びや発見が様々なかたちで役立てていただけることを期待しています。
また、工大サミットの大学同士の連携が、学生の皆さんの力も加わり、さらに良い発展につながることを願っています。
※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。