地域企業と連携し課題を解決する「地域プロジェクト」が始動しました~生体医工学科
2023.02.20
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本学では、社会で求められる実践能力や課題解決能力を養うことを目的とした社会実践科目に力を入れています。地域の企業や団体の方々にご協力をいただきながら、学生たちは学科の学びと社会にかかわる課題をテーマに学びを深めています。1年次と2年次が学年を超えて共に学び、多様な人と協働するのもこの科目の特徴です。
「臨床工学技士」を志す学生が学ぶ生体医工学科では、「医学」「工学」「臨床」の3分野に分かれて、「地域プロジェクト」としてPBL(課題解決型学習)の取り組みを始めました。
医学分野は広島県赤十字血液センター、工学分野は藤井医療器株式会社、臨床分野は中国電力株式会社中電病院にご協力をいただき、各分野の課題をご用意いただきました。
医学分野のプロジェクト題材は「献血」
医学分野を担当いただくのは、広島県赤十字血液センターの麻奥所長と事業推進部献血推進課の杉さん。はじめに麻奥所長から「この一年間、あなたの時間を何のために、誰のために使ったかを振り返ってください。その時間の一部を社会貢献に使ってみてはいかがでしょうか。献血は普段からできる社会貢献です」とお話しいただきました。
その後、杉さんが献血を取り巻く現状について講演。献血を支えているのは50~60代が中心で、10代~30代の若年層で献血離れが進んでおり、数年後には献血の支え手が不足することをお話しいただきました。
そのうえで提示された課題は「10代~20代の若者が献血をしたくなるプロジェクトを考える」。学生は3つのチームに分かれて、アイデアを出し合います。
学生たちはアドバイスをもらいながら話し合いを進める
同センターには、本学の伝統行事である「工大献血」でもご協力いただいている
「20代の献血率は約6%といわれています。医学分野の学生の献血率は約35%ととても高い水準で、3チームに分かれても各チームに1人~2人は経験者がいる計算です。知り合いに経験者がいると献血も身近になるもの。良いプランを考えてくれるのではないかと期待しています」と麻奥所長と杉さんは話します。
工学分野の学生たちに課題を伝える藤井医療器株式会社の藤井社長と幸田さん
工学分野を担当していただいたのは、医療器械卸売業の藤井医療器株式会社のお二人。入社3年目の幸田さんが用意したテーマは「世代間交流」でした。これは幸田さんが仕事をするうえで、課題に感じていることでもあるそうです。
「オンラインが普及し、リモートワークなど働き方も多様になる中、人間関係が希薄になっているのは社内でも課題になっています。私自身も離れた年代の先輩方とは、どうコミュニケーションをとればよいかと戸惑うこともあります。このような経験から、仕事しか接点がない関係よりも、人となりがわかる付き合いがあれば人間関係も円滑になり、仕事にも良い影響があるのではと考えました。学生の皆さんには、気軽に何気ない会話が自然と生まれる環境をつくるにはどうしたら良いかを提案して欲しいとこのテーマを選びました」と話します。
工学分野も3チームに分かれ、教授も交えながら話し合う
「楽しい」「自由な発想」「持続可能」の3ポイントを押さえることが課題の条件に
臨床分野を担当いただいたのは、中国電力株式会社中電病院で臨床工学技士として働く元山さん。臨床工学技士が臨床で使用する4つの機器(生体情報モニター、麻酔器、非侵襲的陽圧換気 (NPPV)人工呼吸器、電源設備)について、現場の声を集めた問題点をもとに改善策を考える課題をご用意いただきました。
課題を通じ現場のリアルを知り、課題解決方法を考えてほしいと元山さん
「スキルの高い個人が集うチームよりも、目的に向かってコミュニケーションを取りながら、お互いがベストを尽くせるチームこそ本当に秀でたチームといわれます。目的達成のためには意見の対立もあるでしょうが、恐れずにコミュニケーションを大切に話し合ってください」と元山さんは学生にアドバイスを送りました。
「実際の医療の現場も同じです。専門家の集まりがチームを組んで患者さんにとってのベストを考えて医療方針は決まります。課題解決した経験を通じて、自分の良いところを見つけるきっかけになると嬉しいですね」。
学生たちは全6回の授業で、課題解決に向けて取り組みます。1月には最終プレゼンテーションが予定されています。学生たちがどのような課題解決策を提案するのか楽しみです。
※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、取材・撮影を行っています。