宮島・土曜講座2023開催 テーマは「まちづくりと地域貢献」
2024.02.02
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「まちづくり」に関連する題材を取り上げる宮島・土曜講座(全3回)をetto宮島交流館館、宮島商工会館で開催しました。
今年で14年目を迎える同講座は、広島工業大学プロジェクト研究「宮島町家・まちなみ保全研究センター」の一環として実施するもの。併せて廿日市市との包括的連携協力事業でもあり、学外から講師を招いて講座を展開しています。
今年のメインテーマは「まちづくりと地域貢献」。町家調査、空き家再生、大学の地域貢献の事例を交えた講座を企画
今年度第2回目の開催となる今回は、福山市立大学 大谷 悠専任講師をお招きし、「まちづくりの『舞台』としての空き家~尾道とドイツの現場から」と題して講演いただきました。
大谷氏は千葉大学工学部建築学科を卒業し同大学院修士課程修了後、単身ドイツへ渡りライプツィヒでまちづくりNPO「日本の家」を立ち上げられました。帰国後は尾道に移住し、築90年の古民家「迷宮堂」を改修し、まちづくり活動も行われています。
今回はライプツィヒの活動を中心に、尾道での活動についてもお話いただきました。
『都市の<隙間>からまちをつくろう』(学芸出版)を上梓。2022年には、中国新聞で尾道での活動を紹介する『坂道の空き家から』を連載
ドイツの東西統一後、10年で10万人の人口が減少したライプツィヒでは、空き家を取り壊す政策がとられます。それに反対した住民運動から空き家の活用制度「ハウスハルテン」が生まれました。これは所有者と利用者を結びつけ、公益性のある住民活動に空き家を安価で貸し出すもので、大谷氏もその制度を利用し、集まった人が共に食事をする「日本の家」を週に2回開催していました。
世界中から年間延べ9千人が訪れている「日本の家」は、同市を代表する交流・文化拠点に成長している
大谷氏は、まちづくりには行政と住民の双方が主体になる必要があると語ります。行政をタカの眼、住民をアリの眼とし、「アリの得た情報・経験をタカに伝え、タカは大枠を政策に生かし、タカ視点の政策をアリが実行する。その循環をどう作るかがまちづくりのテーマです」と話します。
質疑応答では、日本の家の運営方法や近隣住民への理解促進、都市のブランディング方策など、さまざまな意見交換がなされた
最後に本学の森保名誉教授が「宮島のまちづくりに関わる人々に期待することは?」と質問。大谷氏からは「観光地ではなく人の住むまちとして、"何を失ったら宮島は宮島ではなくなるのか"を考えて、皆さんで共有してほしい」とアドバイスをいただきました。
講座は盛会のうちに幕を閉じました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。