建設用3Dプリンタ造形見学会を開催
2024.05.23
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環境土木工学科の授業の一環として、建設用3Dプリンタによるコンクリート構造物の造形見学会を開催しました。大学構内で見学会が実施されるのは、全国的にも極めて稀なこと。本学の学生だけでなく、広島工業大学専門学校の学生や多くの報道関係者も訪れました。
見学会は、太田川河川事務所の直轄工事である「令和5年度三篠川丁地区築堤護岸他工事」を受注した株式会社鴻治組のご協力のもと実現したもの。同工事では建設用3Dプリンタで作成した集水枡と階段工を使用します。
今回は建設現場で使用している建設用3Dプリンタを構内に設置し、特注仕様のベンチモニュメントと実際の工事で使われる階段工の躯体の作成を実演していただきました。
特殊なモルタルを吐出するノズルが水平に移動し、複雑な形状のベンチを積み重ねながら造形する
前写真と同様に作成したベンチ。45層に積み重ねたモルタルが一体化しており、強度も従来の約3倍あるという
はじめに長坂学長が「デジタルと工業関係がかけ合わさった新しい技術に学生が触れる良い機会になります」と挨拶。続いて株式会社鴻治組から工事における建設用3Dプリンタの活用について話をいただきました。
「デジタルを使い進化する新しいものづくりを、大学も取り入れていきたい」と長坂学長
建設用3Dプリンタの活用により、従来は現場で行っていた型枠組立などの作業が無くなり、作業日数の大幅な短縮につながります。職人の数も抑えられ、法面での作業も減り安全性も向上します。
DX化により、厳しく危険も伴う現場仕事という従来の土木のイメージとは全く異なる環境が整いつつあるといいます。
奥が型枠を使う従来の工法、手前がプリントした集水枡。熟練の型枠工なしで施工ができ、担い手不足の解消にも
プリンタで作成した階段工への適事例は中国地方初。地覆付き階段工としては全国初の取り組み事例に
見学会は環境土木工学科1年次生と3年次生の授業の一環として行われました。授業を担当する竹田教授は、「建設の現場は厳しいというイメージを持っている学生も多いと思う。最新の技術に触れて、新しく変わっていく建設の現場も知ってほしい」と話していました。
「ぜひ学生に見てもらいたい」という竹田教授の熱意により、この授業が実現した
参加した1年次生の奥本さん(愛媛県立松山商業高等学校出身/愛媛県)、小野さん(広島県立西条農業高等学校出身/広島県)、土江さん(広島県立広島観音高等学校出身/広島県)、津野さん(島根県立江津工業高等学校出身/島根県)のグループ。豪雨や地震が多発する中、インフラを支える土木に興味を持って同科を選んだといいます。
4人は技術の進化に驚き「今日見た技術をしっかり覚えて新しい土木の姿を想像しながら勉強していきたい」と話す
株式会社鴻治組をはじめ、多くの方々のご協力により、学生たちにとって貴重な学びの時間が実現しました。
改めてお礼を申し上げます。