広島工業大学

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広島工業大学

建築デザイン学科

森田 秀樹

教員紹介

森田 秀樹MORITA Hideki

環境学部 建築デザイン学科 教授

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○木材加工
○木質材料
【担当科目】
デザインワークショップ 、 工房実習 、 デザインスタジオ 、 技術者倫理
【研究テーマ】
1.広島県内の⽊製品に関する調査
2.⽊質材料の性能評価及びその利⽤に関する研究
3.屋内外における⽊材利⽤に関する研究
【ひとこと】

私たちの⾝近に豊富に存在する⽊材は、加⼯から利⽤、廃棄までの環境への負荷が⼩さく、持続的な資源です。皆さんのアイデアを⾃らの⼿で加⼯し、実現する喜びを体験しながら、⽊材の新たな可能性を共に考えていきましょう。

研究紹介

森田 秀樹MORITA Hideki

環境学部 建築デザイン学科 教授

機能性が良く、コストを削減した新木材を開発。
産学連携で家具・建材への活用を目指す。
PROLOGUE

新国立競技場に約2,000m3の木材が使用されるなど、昨今は資源としての「木」の価値に注目が集まっています。計画的な育林と消費で持続的利用が可能であり、また光合成で二酸化炭素(CO2)を取り込む木を有効活用することは、SDGsの理念にもかなうと言えるでしょう。森田先生は、地域の木を利用した建材や家具の開発を、地域のメーカーや林業関係者と協力しながら進めています。「地域の森で生まれた資源を地域で活用し、利益は森に還元する。そんなサイクルを生み出したい」と、森田先生は言います。

森林資源を無駄にしない、中小メーカーでも製造しやすい新木材。

「木材」にも、様々な種類があります。丸太から切り出した角材や板材は「製材」、大根のかつらむきのように丸太を薄く切って伸ばしたものを「単板」(ベニア)、単板を積層して接着したものを「LVL」(単板積層材)と呼び、各々で特徴が異なります。
さらに、丸太を製材して乾燥した板を、平行に並べて貼り合わせた上で、それを繊維の向きが直交するように積層したCLT(直交集成板)も登場しました。節などの欠点によっては使えない場合も多い中、CLT は原材料の木に多少欠点があっても大丈夫。強度を保ちつつ壁や床といった建築物の面の部分に使用できるため、森の資源を無駄なく使えるメリットがあります。
一方、CLT の欠点は、作るのに手間がかかることです。大きな設備投資ができない地元の中小メーカーにとってはコストがかさんでしまうのです。
そこで私は仲間の研究者と、Ply Core (プライコア)という新たな木材を研究しています。表層は CLT と同じですが、コア部分に国産のLVL を使っているのが大きな特徴。これにより強度や取り扱いの良さは維持しながら、製造の手間とコストの削減を実現したのです。

これがPly Core。
コア部分に、単板を積層したLVLを
使用しているのが大きな特徴です。

学生のアイデアで、新木材を活かしたユニークなテーブルが誕生。

Ply Coreは、いずれ建築物の構造材として使用したいと考えていますが、国の許認可に時間がかかります。そこで、並行して取り組んでいるのが、家具などインテリアへの応用です。
ゼミの学生が若い感性を活かし、あったらいいなと思う家具を自由にデザインします。それを基に木工家具メーカーと打ち合わせた後、CAD でモデルを作成。機能性や構造的な解析を行い、製品化するのです。
学生の発想は、とてもユニークですね。ある学生は、大きく開いた花のようなテーブルをデザインしました。その花びら部分一つひとつが分離し、一人用のサイドテーブルとして使えるのです。一人で使いたい時は花びらを分け、みんなで会議する時は花びらを寄せ合う。オフィスでもお店でも自宅でも、いろんな使いみちが考えられそう。このデザインは製品化に向けて動き出しています。
今後は広島の企業と積極的に連携していきたいと思います。地元にも、有力な木材メーカーや木工家具メーカーがたくさんありますから。

地域の森から生まれた利益は、地域に還す、というサイクルが重要。

企業と連携してオフィスの木質化にも取り組んでいます。これはオフィス環境のインテリアに木を取り入れようというもの。無機質な都市空間の一部でも木に包まれれば、人々の心理に良い影響を与えます。もちろん感覚だけでは説得力がないので、木質化の程度によって、温度・湿度・照度・紫外線などがどう変わるか、という機能面の調査も行っています。今後は、この内装木質化を実現するためのパネル化や施工方法といった実用化のための検討を学生と一緒に進める予定です。
私の研究の多くは企業との共同研究であり、実用化を目指したものです。このような産学連携で開発を行うにあたり、私が学生たちに口を酸っぱくして言うのが「木材に関する地域の背景、歴史をしっかり調べなさい」ということです。
木には地域性があります。地域によって、植えられた樹木は異なります。同じスギでも、九州山地と中国山地に育った木は別物です。
そうした地域の木のクセや扱い方を、地元の木工職人たちは良く知っています。地域の背景や、蓄積された木工技術を知らずに、地域の木をうまくデザインすることはできません。
地域の木を生活や産業に活かし、生まれた利益を地域の森に還元する。そんな好循環を生み出すため、様々な人々と連携していきたいですね。

Ply Coreを活用した家具。花びらのような形の一片ずつがばらせます。一片ずつなら個人用に、会議をしたい時は集めて花の形に…など、多彩な使用法が考えられます。
このアイデアを出したのは学生です。
写真提供:株式会社イトーキ
無機質な空間に木材を取り入れる
オフィスの木質化にも取り組んでいます。