挑戦の先に見えてきた、成長と新たな目標 2018年度 学生自主企画プログラム「HITチャレンジ結果報告会」
2019.04.24
このニュースは、クローズされました
本学では、学生の「こんなことをやってみたい」「挑戦したい」という意欲に応える本学独自の取り組みが「HITチャレンジ」という制度があります。この制度は学生の自主性や協調性、さらには問題解決能力を養うことを目的に毎年実施しています。学生自ら企画・立案、プレゼンテーションし、採択を受けたプロジェクトは最大50万円の活動援助金を受けることができます。今年度HITチャレンジに採択されたのは5団体。クラウドデバイスの開発、電気自動車レース参戦、環境保全など、7月から様々な活動に取り組んできました。3月7日、その活動成果を学生自主企画選考委員会の選考員や来場した学生の前で報告しました。各団体の学生たちは、活動を通してどんな経験を得たのでしょうか。報告会の様子をお伝えします。
開会前のデネブホール。報告を間近に控え、緊張の面持ちで待つ学生たちの姿がありました。
開会に先立ち鶴衛学長が「メンバーと議論し合い、どんなチャレンジをしてきて、どんな成果を得たのか、報告を楽しみにしています」と挨拶。
〈一般部門〉
アプリケーション開発コンテストで準優勝の成果を収める
「クラウドに繋がるデバイスの開発」HIT-LAB
HIT-LABは、クラウドに繋がる組み込み機器の可能性を探求し、システム開発を行っている団体です。昨年度に続き、組み込みアプリケーションの開発コンテストD2Cコンテスト(Device2Cloud)での優勝をめざして活動を行ってきました。メンバーを2チームに分け、「自転車駐輪場における自動防犯システム」と「観光画像による客観評価システム」を開発。企画・開発のシステム構想設計書とプレゼンテーションビデオによる予選審査では、2チームとも通過し、東京で行われる決勝大会の出場権を獲得しました。決勝大会までの期間もシステム向上をめざして改善。その結果、決勝大会では「自転車駐輪場における自動防犯システム」のチームが見事準優勝を果たしました。開発を通して、メンバー間での技術・知識の共有や日程管理の大切さを学びました。
システムの概要と構成を説明する学生。
決勝大会では他のチームのレベルの高さを痛感。開発能力だけでなくアイデアや視野の広さに大きな差を感じました。
「自作EVでエコランだ〜環境にやさしい自動車レース〜」Team HIT-EV
マシン改良で軽量化、2大会で部門優勝
充電式乾電池を動力としたエコ電気自動車を自作し、パナソニック主催の「Ene-1 GP kv-40チャレンジ(大学・高専・専門学校部門)」で部門優勝をめざしたTeam HIT-EV。大会に向けてマシンのカウル(車体を覆う部品)を中心に改良を行い、車体の軽量化を図りました。その努力が実り、Ene-1GP「SUZUKA」大会と「MOTEGI」大会で見事部門優勝し、目標を成し遂げました。さらに、次年度の目標を総合優勝に設定し、すでに動き出していることも報告。現状の自分たちのマシンと競合チームのマシン性能を比較検証したところ、設計やフレーム素材、モーターなど様々な面で大きな差があり、マシン改良だけでは差を埋めることは不可能だと判断。新マシンの製作にチャレンジすることを発表しました。
新マシン製作にあたり予算の確保や技術の向上など、新たな課題も見えてきました。学生は「支援者を募っていくためにPR活動にも力を入れていきたい」と力強く語りました。
Team HIT-EVのメンバーは、5団体で最も少ないですが少数精鋭で結果を残しました。
「地域の防災意識を高めよう!〜in防災フェア〜」Mutual Assistance Project
運動会形式で、楽しんでもらいながら地域の防災力アップ
Mutual Assistance Projectは、災害時の被害を少しでも軽減することを目的に、地域の方々の防災意識を高める活動をしている団体です。自分たちで簡易防災グッズの作成と強度検証を行い、そこから得た知識と技術を活かして、防災運動会を企画・開催しました。ラップで作成した縄の大縄跳びや、物干し竿と毛布(またはラップ)で作成した簡易担架のリレーなどを実施。参加者からは「防災について勘違いの知識があったので勉強になった」「楽しみながら防災のことを学べた」と好評でした。また、市販されている防災グッズの比較も実施。不便な点や不足しているものなど、比べることで様々な気づきを得ることができました。
防災運動会の様子をスライドで報告。クイズ形式の種目なども取り入れ、被災時の知識を広めることができました。
Mutual Assistance Projectは18人と大所帯。メンバーを班分けして効率よく進めていくなど、チーム運営で工夫があったことを伝えました。
〈ボランティア部門〉
こどもが自然体験できる森林をめざして森林調査
「こどもの森再生プロジェクト」GREEN project
GREEN projectは、こどもたちが自然体験できるような森林をつくっていくことを目的に、荒廃した森林を整備するための環境調査を行いました。対象地となったのは湯来町和田地区の森林。地形、光量、樹木、土壌、林床植生と様々な観点で調査し、人が立ち入れない場所はドローンを使って調査区域全体の把握も行いました。調査結果は土地の管理者を含め、地域の方々に向けて報告会を実施。意見交換を通してさらなる情報収集にもつながりました。次年度は、今回の森林調査で得たデータをもとに、園路づくりや、伐採林を利用したネームプレートづくり、ベンチの製作など、具体的な開拓に着手していきたいと報告しました。
コドラート調査(森林を一定の区画に分け、植物や動物の個体数を調べる方法)を用いて優占種を分析。
落葉樹と針葉樹がどのように分布していたかを説明する学生。「調査の結果、この森林ではスギとヒノキが多いことがわかりました」
模型とパネル展示で、観光客に耐震化工事の理解促進
「広島平和記念資料館の耐震化の理解と発信」建築屋たち
現在、耐震化工事のため入館できない広島平和記念資料館。多くの観光客から「以前の建物と何が違うのか」「どんな工事を行っているのかわからない」といった問い合わせがあります。こうした実情を受けて、観光客の疑問解消を目的に建築屋たちのメンバーはわかりやすい模型やパネルを製作し、工事現場で展示を行いました。製作にあたりまず行ったのは工事内容の把握と理解。平和記念資料館に出向いて工事現場の方や市役所の方に何度も話を伺い、納得のいくまで理解を深めました。そして模型は工事工程を5つのステップに分けて作成。パネルは外国人観光客のために英語翻訳も表記しました。メンバー間のコミュニケーション不足により、スケジュールが大幅に遅れてしまう困難がありましたが、報告・連絡・相談を徹底することでチームワークを高め、乗り越えていきました。
「講義と部活、HITチャレンジの3つを掛け持ちする生活は大変でしたが、無事完成し、展示された時は、とても大きな達成感がありました」と報告。
実際に展示されている様子がこちら。多くの観光客が足を止めて、パネルと模型に見入っていました。
HITチャレンジ報告会を終えて
建築屋たちのプレゼンテーションを行った代表の浅田琢真さん(建築工学科2年)と水島和馬さん(建築工学科2年)にお話を伺いました。
「立ち上げ当初はメンバーを上手くまとめることができず、みんなの意識がバラバラになりかけました。このままではいけないと思い、一人ひとりと話し合い、役割を明確にしたことで責任感が芽生え、徐々にまとまりが出てきました。このことから自分から行動していくことが大切だと実感しています」(浅田さん)
「模型やパネルは一般の方の目に触れるものなので、現場の方からの指摘や要望はハードルが高く修正にとても苦労しました。しかし学生のうちからこのような経験を積めたことは将来に活かしていけると思います」(水島さん)
浅田さん(左)と水島さん(右)は、報告会のために念入りに準備してきました。特に3月に入ってからは、毎日2人で発表練習を繰り返したそうです。
時に壁にぶつかりながらもメンバー同士で支え合いながら乗り越えてきた経験は、きっと今後の生活に役立つはずです。次年度は、どんなチャレンジを見せてくれるのでしょうか。広島工業大学はこれからも学生たちの挑戦を応援し、見守ってまいります。