製造現場の調査から課題を発見し、改善策を提案 地域課題解決実習(PBL科目)報告会を開催
2020.03.13
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地域の産業や行政が抱える課題を学生自らが調査し、解決策を見出す地域課題解決実習。
この授業を履修した山本賢さん(電気システム工学科2年)は昨年9月に株式会社今仙電機製作所を訪れ、製造現場を調査。作業の流れや道具の位置を見直し、無駄のない工程を築いていくIE(インダストリアル・エンジニアリング)を行うための情報収集をしました。持ち帰った情報は大学で細かく分析。約4か月かけて課題を抽出し、業務改善策を考案しました。報告会当日は、集大成として、再び株式会社今仙電機製作所を訪問し、業務改善策をプレゼンテーションしました。その様子をお伝えします。
9月の現場調査ではビデオ撮影や社員への聞き取り調査を行いました。
発表会には、執行役員の方をはじめとした多くの社員の皆様にご出席いただきました。
作業時間のばらつき、手持ち時間が改善のカギ
山本さんはまず調査内容と測定方法を説明。撮影した映像を基にはんだ付けやネジ締めなどの作業内容を12項目に細かく分類して時間を測定。最大時間と最小時間、平均時間をデータ化したことを伝えました。続いて一つひとつの作業を分析。その中でネジ締めの工程に時間のばらつきがあったことや、次の作業待ちの時間が発生している工程があったことを報告。山本さんは「ネジの取りミスが減れば時間短縮になり、待ち時間を有効に使えば別の作業が可能になる」と発表しました。
今仙電機製作所の方々を前にしても物怖じせず、堂々と発表を行う山本さん。
スライドはグラフや表、動画などをたくさん取り入れ、わかりやすいよう工夫していました。
山本さんの発表に耳を傾けながら、資料を食い入るように読み込む姿も。
発表後、活発に交わされる議論
山本さんの発表後、意見交換が活発に行われました。今仙電機製作所の方々は「ほんの些細な動きでもしっかり分析している」と山本さんの報告を評価。データ数値を見ながら「少しだが手待ちの時間が発生しているということは、ライン製造の工程から見直す必要があるのでは?」「ネジ締めの時間にばらつきが出ているのは、作業者にとってやりづらい部分があるのかもしれない」など、次々に議論が巻き起こりました。
「この分析をもとに作業内容を見直し、改善につなげていきたい」と山本さんのデータを積極的に活用することを伝えてくれました。
担当教員の宗澤先生は「今後も要望に合った調査を行い、企業と大学の両方にとって良いものにしていきたい」と締めくくりました。
発表を終えて
改めて山本さんと今仙電機製作所の方にお話を伺いました。
山本賢さん
「映像の時間を何度も計測し、コマ割りして一つひとつ分析することはとても大変な作業でした。しかし、発表で想像以上に自分の分析を受け入れてもらえて、自分のやってきたことに意味があったのだと、とても嬉しい気持ちです。今回の実習を通して感じたのは『何事もやってみないとわからない』ということ。分析も提案も初めてのことでしたが自信につながりました。この経験を今後の授業や実験、卒業研究に活かしていきたいと思います」
「今は達成感でいっぱい。無事終わって嬉しくもあり、少し寂しくもありますね」と満面の笑みの山本さん。
執行役員
電子事業部 設計・製造 グローバル開発センター担当
三輪真揮さん
「我々が本業としてやっていることと同じ目線があり、とても素晴らしい報告でした。映像の撮影方法など活用できそうな点もいくつかあり、積極的に取り入れていきたいと思います。ものづくりはグローバル化が進み、競争が激しくなってきています。学生さんには世界に通用する技術者をめざして学び続けてほしいと思います。企業側としても教育の場面で貢献できるよう、さらに大学と連携を深め協力していきたいと考えています」
「若い学生さんたちの視点には、我々では気づかない発見がある」と三輪さん。
山本さんはPBLを通して自ら考え、発信していくことが、現場でどのように役立つのかリアルに実感することができたのではないでしょうか。株式会社今仙電機製作所の皆さま、ご協力を賜り誠にありがとうございました。本学では今後も、PBLを通して学生の自発性、能動性を引き出し、社会に貢献できる実践力を養成してまいります。